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パリ五輪会場・セーヌ川が「道頓堀より6倍以上汚い」衝撃データ…100年も「泳げない川」で本当に開催できるのか?「最後は天気次第」という不都合な真実
text by
広岡裕児Yuji Hirooka
photograph byGetty Images
posted2024/06/06 06:00
一度雨が降ると一気に写真の通りの水質になるセーヌ川。ここでパリ五輪のトライアスロン、オープンウォータースイミングが行われるというが…
大規模な「遊泳計画」
5月2日には、13区のオステルリッツ駅横に貯水施設がオープン。大雨の時に下水を溜めてセーヌ川に流さないようにしようとするもので、深さ34メートル、貯水量は4万8500m³、オリンピックプール20個分に相当する。
これも含めて、国とパリ首都圏であるイルドフランス地方の各自治体は、約14億ユーロ(約2366億円)をほぼ折半で投資して、以下のような大規模な「遊泳計画」を実施している。
・上流の郊外5か所に貯水施設を建設
・上流にある2つの大規模な汚水処理場へのバクテリア処理システムの装備
・2万3000カ所に及ぶ家庭からの接続不良の改善(とくに郊外では下水道を通さず直接セーヌ川や支流に流すものが残っている)
・船舶からの排水の河川への排出を禁止し、係留している船を下水道網に接続
・自然環境の中で雨水が土壌に流れ込むような植栽の促進
これによって、生活排水の流入を防ぐだけでなく、細菌汚染の75%も除去できるという。
天候次第で「延期の可能性も」
とはいえ、まだ天候次第であることは否めないようで、イダルゴ市長の遊泳も「場合によっては30日に延期される可能性もある」としている。
イルドフランス州地方長官は、水質不良でも「1、2日延ばせばいい。冬季五輪でも天候が悪いと延期されるのと同じだ」という。だが、マラソンスイミングは会期終了の3日前と2日前の8月8日(女子)、9日(男子)に開催が予定されている。
過去の統計をみると天気は大丈夫そうだが、なにせ異常気象だ。ゲリラ豪雨も増えている。結局のところ競技の前の2日間に大雨が降らないことを祈るしかない。