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パリ五輪会場・セーヌ川が「道頓堀より6倍以上汚い」衝撃データ…100年も「泳げない川」で本当に開催できるのか?「最後は天気次第」という不都合な真実
posted2024/06/06 06:00
text by
広岡裕児Yuji Hirooka
photograph by
Getty Images
6月6日、パリ五輪まで残り50日となった。日本では代表内定の選手が発表されていく中、パリの街で「本当に開催できるのか?」と開催が危ぶまれている競技会場がある。それは開会式とトライアスロン、マラソンスイミングが行われる「セーヌ川」だ。一体、花の都を彩る河川に何が起きているのか。
パリ市長は「私の泳ぎを見せたい」
パリのアンヌ・イダルゴ市長が、6月23日の「オリンピックデー」にセーヌ川で泳ぐと宣言した。「練習しましたよ。私がよく泳げるということを見せます」とやる気満々である。
開幕まで2カ月を切ったパリ五輪、コンコルド広場やエッフェル塔周辺、市庁舎前などには仮設スタンドが続々とできあがっている。これらの名所は市内を横断するセーヌ川に面している。セーヌ川は「広く開かれた大会」という今大会のスローガンの象徴である。開会式とトライアスロン、マラソンスイミングの会場にもなる。
1923年から遊泳禁止
かねてより、全長6kmにわたる川面で繰り広げられる開会式の警備については懸念されていたが、ここへきて、水質の問題がにわかにクローズアップされてきた。
4月に、国際環境NGO団体「サーフライダー財団・ヨーロッパ」が公開質問状で水質の悪さを警告した。フランスメディアもこぞって、この問題を取り上げた。
セーヌ川は船の通行と水質汚染のため1923年から遊泳禁止になっている。もし泳ぐと罰金15ユーロ(約2535円、6月5日時点の為替レート、以下同)だ。べつに悪臭がするわけではないが、たしかにこの水の中に入りたいとは思えない。「オリンピックまで2カ月:セーヌはまだ遊泳不可能」などというニュースの見出しで拾われるパリっ子たちの声も懐疑的だ。イダルゴ市長は、そういうゴチャゴチャ(彼女の言葉では「ニャニャニャ」)を断ち切るために身をもって示す、というのだ。