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「カマダ中心で見たかった」「地獄に落ちろラツィオ関係者」現地ファンは鎌田大地に同情…番記者が知る“残留交渉決裂で激怒SD”の言い分
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph byImage Photo Agency/Getty Images
posted2024/06/02 17:09
シーズン終盤戦で定位置を確保した鎌田大地だったが、ラツィオ退団を選択した
最終節を前にした事前の下交渉で、SDは「鎌田側代理人は100%残ると言っている」と契約延長に自信を持っていた。更改の条件としてギャラの上乗せも加味した。
それらを期限前日に突然ひっくり返されたのだから、ラツィオ側にしてみれば、話がちがうと文句の一つも言いたくなるだろう。
「(営利企業として)選手を自らの資産にできない契約条件など(2度も)認められない。この手の代理人や選手たちはラツィオのファンやクラブをリスペクトしていると言えるか。彼らのような“馬鹿者ども”相手に愛想よくふるまうことなどできん」
魑魅魍魎が跋扈するイタリアの移籍市場であっても「恐喝」や「ゆすり」といった物騒な言葉が使われるのはよほどの事件だ。かつて、去り際にここまでフロントに対して悪印象を残した日本人選手はいなかった。
ガゼッタ紙の番記者に交渉の経緯を聞いてみると
現地紙『ガゼッタ・デッロ・スポルト』のベテラン記者ステファノ・チエリは「残念だ」と沈んだトーンで切り出した。
「ファビアーニと話をしたがそれはもう怒っていた。確かに彼は沸騰点の低い人物だが同情はできる。“1年お試しでやってみて気分よかったら延長しますよ”という完全に選手優位の言い分でも、契約は契約だからラツィオは昨夏に1度、条件を呑んだ。だが、2度目もというのは流石に厚かましすぎる。更改にあたって鎌田へ提示した300万ユーロ+ボーナスという新年俸提示額も、2ゴールしかしなかった攻撃的MFにしては正直悪くない数字だ。新たに契約し直すことによる税優遇措置の消失云々はあまり関係ない。それより、土壇場で言い分を一変させた鎌田側との信義の問題がクラブを激怒させた要因だろう」
5月26日、ホームスタジアム「オリンピコ」で行われた最終節サッスオーロ戦にも鎌田は先発した。
年明けから出場機会を失っていた鎌田は、春に就任した新監督イゴル・トゥードルから再評価されスタメンの座を奪回。シーズン終盤の不動のレギュラーとして最終節にもトップ下で先発、交代策でボランチにポジションを変えた後もチームの軸としてプレーした。
最終節後、鎌田はシーズンをどう振り返っていたか
試合後のセレモニーにも笑顔で臨んだ後、波乱万丈の今シーズンを振り返るコメントを残していた。