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「カマダ中心で見たかった」「地獄に落ちろラツィオ関係者」現地ファンは鎌田大地に同情…番記者が知る“残留交渉決裂で激怒SD”の言い分
posted2024/06/02 17:09
text by
弓削高志Takashi Yuge
photograph by
Image Photo Agency/Getty Images
すれ違いや喧嘩別れはサッカーの世界につきものだ。
日本代表MF鎌田大地は、5月末をもってラツィオとの契約延長オプションを行使せず、1シーズン限りで退団した。
ラツィオSD「これは恐喝やゆすりだよ」
昨夏に続いて再びフリーの身となった鎌田には英国クリスタルパレスへの移籍話がまことしやかに囁かれているが、去られた方のラツィオ界隈では過激な怒りの言葉が飛び交っている。
「これは恐喝やゆすりだよ。私は何人たりともそんなふざけた真似は許さない。鎌田側には冷静に伝えた。そちらがそのつもりなら話し合いの余地はない、どうぞご自由に出ていってくれとね」
5月31日、ラツィオのSD(スポーツ・ディレクター)アンジェロ・ファビアーニは、クラブ公式HPの動画番組で苛烈な言葉を並べながら事態の説明を試みた。シーズンが終了した時点で、鎌田の去就はラツィアーレ(ラツィオファンの通称)にとっての一大関心事だった。
SDファビアーニは、30日に交渉期限を迎えた鎌田側との契約更改が決裂し、正式に彼の残留がなくなったことを伝えた。言葉を選びながら洗いざらいブチまけた。
「昨年の夏、我々は鎌田側の『単年契約+(選手側の意思で)3年延長オプション』という彼ら有利の条件を呑んだ。代理人手数料に200万ユーロ、選手の年俸300万ユーロ(+クラブ側が負担する税金)だ。安い買い物ではなかったことは理解いただけると思う」
「もし鎌田が来季以降うちでプレーしたくなければ、フリーで出ていくことができる。それはわかっていた。だが、30日の更改期限を前に彼らは突然『1年前と同じ契約をしてくれ』と言い出した。なんと無作法で無礼なのかと感じたよ」
“馬鹿者ども”相手に愛想よくふるまうことなど…
そもそも選手本人の自由意志で1年後のフリー移籍を認める昨夏の契約内容は異例のものだった。予算をかけて雇った選手を資産化することなく失うことは営利企業としては論外だ。ラツィオはそのリスクをあえてかぶることで鎌田側に“貸し”を作り、今季終了後、着実に保有権の3年延長オプションを行使してくれる、という信義にかけていたといえる。