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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
ダルビッシュ有25歳が金田正一や稲尾和久を超えた「プロ野球史上1位」大記録とは…39億円ポスティング→ケガとの戦い、メジャーでの転機
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/05/24 11:02
2011年、日本ハム時代のダルビッシュ有。この年に“昭和の大投手を超える”大記録を打ち立てていた
最多は400勝投手・金田正一で7回、西鉄の稲尾和久も6回記録しているが、連続記録で言えば両投手とも「4年連続」だった。25歳でマークした5年連続防御率1点台は、NPB史上1位の大記録である。大投手が君臨した昭和中期ならともかく、21世紀のNPBでこの記録を達成したのは驚異というしかない。
防御率1位2回、最多奪三振3回、沢村賞1回、MVP2回。最多勝のタイトルこそ同期、同学年のライバルだった当時西武の涌井秀章に2度阻まれるなどして獲得できなかったが、圧倒的な成績を残した。
日本での無双のち、約39億円でのポスティング
以下はダルビッシュがNPBにいた2005年から11年までの7シーズンで、700イニング以上投げた投手の防御率5傑。
ダルビッシュ有(日)167登93勝38敗1268.1回1250振 率1.99
田中将大(楽)125登65勝31敗930回886振 率2.61
杉内俊哉(SB)177登89勝42敗1268回1331振 率2.62
武田勝(日)159登57勝41敗832回515振 率2.68
前田健太(広)107登42勝36敗734.1回568振 率2.73
ダルビッシュは唯一の1点台、勝利数もイニング数も1位、奪三振は杉内に次ぐ2位。ずば抜けた成績を残した。NPB7年目の2011年には「NPBではもうやることがない」ような状態になった。この時期、ダルビッシュは、相手チームの主力打者から「お手柔らかに頼むよ」的なことを言われて、がっかりしたと語っていたこともある。
ダルビッシュは、ポスティングシステムでレンジャーズに移籍。日本ハムには5170万3411ドル(当時のレートで38億8000万円)のポスティングフィーが入った。
レンジャーズに入団してダルビッシュの各種の数字は落ちた。防御率は前年の1.44から3.90に、被本塁打は5本から14本に、与四球は36から89になった。
MLBの打者はただパワーがあるだけではなく、選球眼もあって、手ごわい打者ばかりだった。しかしダルビッシュはMLBに来て、レベルの高い相手との対戦に手ごたえを感じ、やりがいを感じるようになったようだ。
ダルと田中将大が同時期に経験した“ヒジの故障”
メジャー2年目の2013年5月、タイガースのスラッガー、ビクター・マルチネスにファウルで粘られたダルビッシュは自身のブログでこのように発信した。