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欧州サッカーPRESSBACK NUMBER
「ねー最近、ゲンキどうしてる?」槙野も心配…元日本代表・原口元気33歳が語る“今季わずか25分”の本音「戦力外なんで、我慢するしかなかった」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byTaisei Iwamoto
posted2024/05/22 11:29
今シーズン限りでシュツットガルトを退団する原口元気(33歳)。チームの躍進を支えたが、出場機会は限られた
――今季はかなり苦しんだ。
「初めてですけどね、こんなに出られないのは。これまでもちょこちょこ出られない時期はあったけどこんな長いっていうのはさすがに。これだけ長く選手生活をやってたらこういう時も来るか……っていう。まさかこんな長いとは思わなかったけど。しんどかったですね」
――全然様子がわからなかったのですけど、どういうポジションで、どんな役割で練習していたのですか?
「ボランチでやってるけど、一番得意な8番(中盤で攻守両面を担う、インサイドハーフ)は、ここのシステムではポジションがないので。それにチームの状態が良いんでね。監督に何か希望を言いに行くにも行けない。正直使ってもらえなくて悔しい思いはあるけど、受け入れざるを得ないような状況というか」
シュツットガルトは今季バイエルンを上回って堂々の2位でフィニッシュした。好調なチームにいて、出場機会をくれと指揮官に訴えるのは確かになかなか難しかっただろう。
――でも、そんな状況を割り切るのも大変だったのでは?
「割り切ってましたよね。なんなら試合のメンバーに入らないで、試合の日も自分で練習したいくらいの感じでした(試合メンバーになったにも関わらず出場がないと、その分練習時間が削られるため)。今年は身体も徹底的に変えようと思って、いろいろ取り組んではいるんでそれを来年以降出せたらいいかな。でも、フィジカルは成長させられた反面、1年間ほとんど試合に出なかったっていうのはサッカー的な面で言うとね、マイナスでしかなかったんで」
「とにかくパワー」原口が取り組んだテーマ
――確かにそれはそうかもしれない
「でも身体のことに対していろいろトライができたんで、それが次のシーズンでどう出るかなという。結構いろいろやったから」
――身体はどんなテーマで取り組んできたのですか?
「パワー」
――パワー?
「パワー、走るとか戦うとか、とにかくパワーですね。でもね、試合に出てないとね、それも試す機会がないんで。正直、練習でよくても別に、本番は違うんで。そこに対するアプローチはできなかったんで、練習試合もなかったし」
――例えばチェイス・アンリ選手なんかがそうだけど、若い選手はトップチームと練習しながらセカンドチームの試合に出たりもする。そのほうが試合に出る時間が取れるというのもある?
「そうっすね。でも、トップでベンチに入ってる限りは、トップでチャンスがあると思って、準備してるから。それに、なんていうの? 内心、チャンスないかなと思いながらも、やっぱりメンバーに入っている限りは100%で準備してた」
――チームに何かがあれば出場機会は来るし。
「そう、何かあったとき。でも、そうやって準備してあーまた出れないかっていうのがもう、心を突かれる感じで」
――メンタルが鍛えられました?
「鍛えられないです。ただただ、耐え続けて。でも、ほとんどの人がもう終わりかなと思ってると思うけど、個人的にはもう一回、ブンデスリーガでしっかりやるっていうのが目標であるし。そのためのプラスアルファのことはやってきたと思うんで」
“多くの人にもう終わりだと思われている”、そう自認していた。確かに33歳になったばかりでまだまだプレーできる年齢とはいえ、引退する選手もちらほら出て来る年齢ではある。
ただ、周囲にどう思われていようと、原口は前を向いている。
〈後編へ続く〉