その日の原口は、試合に出場しなかったがミックスゾーンは通った。声をかけると第一声は、案の定だった。

「全然話すことないよ、試合出てないのに」

　そう言いながらも取材に応じてくれる様子だ。

「せっかく来てくれたし」

　そう言って笑った。今の原口は髪が伸びて日焼けし、かつてよりも精悍に見えた。

「戦力外なんで、我慢するしかなかった」

――ベンチに入ったり入らなかったりが続いたけれど（リーグ戦ベンチ外は8試合）どんなシーズンでした？

「普通に戦力外なんで、シーズン終わるまで我慢するしかなかった。いろいろ冬にも試みたけど、自分が行きたいクラブはなかったんで、夏まで待てばフリーなので（移籍金なしで次のチームに行ける）」

――契約、今季いっぱいでしたね。

「そう、契約切れるの。それまで待ったっていう。ほんとは去年の夏にも出ようとしたけど、夏はチーム（シュツットガルト）に断られて、冬は自分が望むクラブがなかったから」

　さすがにここまで出場時間が短ければ別の場所を探すのは当然だ。市場が開くタイミングで毎度チャレンジし、最後は割り切ってこの夏の移籍を目指して日々を過ごしていたようだ。

チームメイトの伊藤洋輝（左）に声をかける原口元気　©︎Taisei Iwamoto

　もう少し今季を振りかえってもらった。

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