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スケボー・堀米雄斗のパリ五輪出場にまさかの“黄信号”…「国際大会では絶好調」でも東京五輪金メダリストが五輪予選で苦しむ「意外なワケ」
posted2024/05/17 17:34
text by
吉田佳央Yoshio Yoshida
photograph by
Yoshio Yoshida/World Skate
堀米雄斗、パリ五輪出場危うし――。
そんな非常事態が現実味を帯びてきた。今は崖っぷちに立たされたといっていいだろう。
現在上海で行われている五輪予選シリーズで17位に終わり、まさかの予選敗退となってしまったのだ。
日本ではスケートボード五輪=堀米といった認識の人が大半ではないかと思う。それだけに、前回大会の金メダリストが「本当に出られないの?」というのが正直な感想ではないだろうか。
「東京五輪金メダリスト」が置かれた現状は…?
まずは彼の置かれた現状を見てみよう。
現在の世界ランクは7位。パリ五輪ではストリートとパーク男女各種目に22名の出場枠が与えられている。となれば、いくら7位とはいえ出場するだけなら問題ないのではと思うかもしれない。
だが各国に与えられる出場枠は最大で3名しかない。その観点で見ると、1位 白井空良、5位 根附海龍、6位 小野寺吟雲に次ぐ4番手に甘んじているため、「圏外」となっているのだ。
さらに5番手で10位の佐々木音憧、6番手で15位の青木勇貴斗はともに今回の上海大会で準決勝進出を果たしているので、今回の予選敗退により、さらに堀米のランキングが下がることは確実。出場に黄信号が灯ったといえるだろう。
なぜ、堀米は苦境に立たされているのだろうか。
筆者が思う最大の要因は「東京五輪後のルール改正」にある。
これはスケートボードに限った話ではないが、国際大会でひとつの国があまりにも強い時、不利になるルール改正をされるケースが見受けられる。スキージャンプの高梨沙羅選手が良い例ではないだろうか。
今回のルール改正の中身を見ると、東京五輪の結果を鑑みた「堀米対策」だと思われても仕方ない内容になっているのだ。
東京五輪までは45秒という制限時間の中でコース内を自由に滑走する「ラン方式」2本と、コースの中で自分が得意な障害物を1つ選択しトリックを1つだけ行い、その完成度や難易度などで点数を付ける「ベストトリック方式」5本の計7本のうち、スコアの良い4本を採点する形だった。それがルール改正により、2本のランのうち1本が必ず加点されるようになり、5本中2本のベストトリックと合わせた3本を採点する形に変更されてしまった。