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ボクシングPRESSBACK NUMBER
井上尚弥は「僕よりサッカーが上手かった」幼なじみの元サッカー選手・山口聖矢が明かす怪物の少年時代「ナオはボクシングのことを話さなかった」
text by
杉園昌之Masayuki Sugizono
photograph byTakuya Sugiyama
posted2024/05/15 17:00
井上尚弥と同じ大橋ボクシングジムに所属する山口聖矢。Jリーガーからプロボクサーに転向した山口が井上尚弥との交流を語る
家族ぐるみの付き合い
2人の出会いは、井上がボクシングをまだ始める前、神奈川県座間市内の幼稚園時代までさかのぼる。仲良くなったきっかけは、入園式での偶然の出来事。井上がサイズ違いの山口の靴を履き間違えて、そのまま家に帰ってしまったのだ。後日、母親と一緒に井上家へ自分の靴を取りに行ったのが交流の始まり。互いの自宅は徒歩2、3分の距離。自然と仲良くなり、家族ぐるみの付き合いをするようになったという。より親交が深まったのは運動会。山口の父親が場所取りのために一番乗りを目指して朝早くに会場に出向くと、すでに陣取っている父兄がいた。井上の父、真吾さん(現トレーナー)である。
「朝5時からいたみたいです。うちの父親も『もう来ていたんですか』と会話をかわし、そこから親同士も仲良くなっていったようです。いまナオも自分の子供の運動会では朝早くから場所取りしていますし、父から息子へ受け継がれているのかもしれませんね」
あの頃は僕よりサッカーがうまかった
幼少期は、幼稚園内のクラブ活動でよくサッカーをしていたことも覚えている。
「たぶん、あの頃は僕よりもうまかったです。いまでも意外にボールを蹴れて、リフティングは100回くらいできると思いますよ」
山口は小学校に入ると、兄の影響もあり、サッカーの道を選んだが、ボールを蹴るセンスを持った幼なじみは気がつけば、父の真吾さんのもとでボクシングを始めていた。放課後はお互いに別の競技に打ち込みながらも、関係性は変わらなかった。ランドセルを卒業し、中学生になっても、公園で無邪気にドッジボールや鬼ごっこなどをして遊んでいたという。
高校は別々の道に
「ずっと少年でした。僕が大学生のときもナオたちと鬼ごっこをした思い出がありますから。弟の拓真(現WBA世界バンタム級王者)、従兄弟の井上浩樹(元WBOアジアパシフィックスーパーライト級王者)を含め4人でロードワークしている途中に誰かが背中にタッチにすると、そのまま鬼ごっこになって……。座間市内中を走り回ったこともありました。あのときは、確か2時間くらいはしていたと思いますよ」