酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
セーブ失敗で崖っぷち「強心臓クローザー」平野佳寿40歳や益田直也34歳、山﨑康晃31歳らは“失格の烙印”を覆せるか…世代交代が難しい事情
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byHideki Sugiyama/Naoya Sanuki
posted2024/05/10 11:08
平野佳寿と山崎康晃は数々の修羅場を潜り抜けてきた。彼らが試合を締めて勝利に沸く姿は今後も見られるのか
できれば「今のクローザーが復活してくれれば、いうことはない」。多くの監督はそう思っている。
ここに挙げた4人は、何度も「クローザー失格」の烙印を押されかかって、そこから這い上がった。言わば強いハートを持つ名投手だ。それでも「年貢の納め時」が来るのが、野球というスポーツではあるが。
平野佳寿は、打ち込まれた翌々日に「ひじの故障」という名目でファームに降格した。代わりのクローザーは、新外国人のアンドレス・マチャドが担うこととなった。彼はMLBでクローザーの経験はほとんどないものの、向こう意気の強い面構えで100マイル近い速球を投げ込んでいる。
NPB250セーブまであと「1」の平野は復活できるか
セーブという記録は、簡単に記録することができない。チームの勝敗を分ける「勝負の場で投げて抑える」という結果を出さなければ、セーブはつかない。この点、先発投手から良いタイミングでマウンドを譲られれば記録することができる「勝利」とは厳しさが違う。
日米通算250セーブにあと「5」と迫っていた藤川球児が、それを果たせずに引退したのはそれがクローザーの宿命だったからだ。
平野佳寿は、すでに日米通算では250セーブを記録し、名球会入りしているが、史上4人目のNPB250セーブにはあと「1」足りない。それを記録するためには、40歳の平野はたった1試合でも「クローザーと言うに足る」投球をしなければならない。
おそらく、これから平野にとって最後の挑戦の時が始まる。
週間成績:DeNA森原が3セーブをマークしている
【2024年4月30日~5月8日 週間成績】
〈セ・リーグ〉
・今季成績
阪 神33試16勝13敗4分 率.552
巨 人35試17勝15敗3分 率.531
広 島30試13勝13敗4分 率.500
DeNA32試15勝16敗1分 率.484
ヤクルト32試14勝16敗2分 率.467
中 日34試14勝16敗4分 率.467
・6週目の成績
DeNA7試5勝2敗0分 率.714
ヤクルト7試4勝2敗1分 率.667
巨 人8試4勝4敗0分 率.500
広 島7試3勝3敗1分 率.500
阪 神7試2勝4敗1分 率.333
中 日8試2勝5敗1分 率.286
筒香嘉智が復帰したDeNAが息を吹き返した。一方で中日は最下位に転落した。
〈打撃成績5傑〉※打撃の総合指標、RC=Runs Create順
村松開人(中)30打17安0本4点 率.567 RC10.63
細川成也(中)35打13安2本9点 率.371 RC8.47
村上宗隆(ヤ)24打6安3本7点 率.250 RC7.13
サンタナ(ヤ)24打8安2本8点 率.333 RC6.06
大山悠輔(神)23打5安2本3点 率.217 RC5.62
中日の村松は5月3日からのヤクルト3連戦で5の5、5の4,4の3という猛打。本塁打はヤクルト村上の3本、打点はDeNA牧秀悟の10が最多。盗塁は阪神・近本光司の2が最多だった。
〈投手成績5傑〉※リーグ防御率に基づくPR=Pitching Run順
村上頌樹(神)2登1勝1敗16回 責1率0.56 PR3.90
吉村貢司郎(ヤ)2登2勝12回 責1率0.75 PR2.67
髙橋宏斗(中)1登1勝8.2回 責0率0.00 PR2.65
山﨑伊織(巨)2登1勝14.2回 責2率1.23 PR2.49
東克樹(De)1登1勝7.1回 責0率0.00 PR2.24
阪神の村上は4月30日の広島戦で9回完投自責点1で勝利、7日の広島戦は7回自責点0ながら負け投手になった。ヤクルトの吉村は5月1日の巨人戦で7回零封、8日のDeNA戦は5回自責点1で2勝。救援では広島・栗林良吏とDeNA森原康平が3セーブ。広島の島内颯太郎が4ホールド。