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セーブ失敗で崖っぷち「強心臓クローザー」平野佳寿40歳や益田直也34歳、山﨑康晃31歳らは“失格の烙印”を覆せるか…世代交代が難しい事情 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byHideki Sugiyama/Naoya Sanuki

posted2024/05/10 11:08

セーブ失敗で崖っぷち「強心臓クローザー」平野佳寿40歳や益田直也34歳、山﨑康晃31歳らは“失格の烙印”を覆せるか…世代交代が難しい事情<Number Web> photograph by Hideki Sugiyama/Naoya Sanuki

平野佳寿と山崎康晃は数々の修羅場を潜り抜けてきた。彼らが試合を締めて勝利に沸く姿は今後も見られるのか

〈現役で150セーブ以上を挙げている4選手の今季成績〉※5月8日終了時点
 平野佳寿(オ)40歳 249S
 11試1勝1敗7S1H9.2回 率2.79
 山﨑康晃(De)31歳 230S
 9試0勝1敗3S3H8回 率3.38
 益田直也(ロ)34歳 222S
 7試0勝1敗4S0H7回 率3.86
 増田達至(西)36歳 194S
 8試0勝2敗0S2H7回 率2.57

 一線級のクローザーには防御率1点台が求められるところで、4人とも成績は抜群に良いとは言えない。

 オリックスの平野は前述した5月1日に5失点したものの、安達の失策が絡んでいたので自責点は0だった。とはいえ彼は4月24日の西武戦でもセーブシチュエーションで3失点していて、厳しい状況なのは間違いない。

 DeNAは昨年不振に陥った山﨑康晃に替わり、後半は楽天から移籍した森原康平をクローザーに据えた。今季は山﨑が4月2日から3試合連続でセーブを挙げたが、以後は森原がクローザーに。山﨑は4月24日の阪神戦で3失点するなど、往時の勢いはない。

クローザーの「替わり」は簡単に見つからない

 ロッテは今季も益田を起用しているが、3月31日の日本ハム戦、4月25日のソフトバンク戦で失点、不安を抱かせた。しかしここ3試合は連続セーブを挙げている。チームは投球フォームが益田とそっくりの横山陸人も起用した。2セーブを挙げているものの、現状では「本家」ほどの信頼感はない。

 そして西武は長くクローザーをつとめた増田を中継ぎに配置転換し、新外国人で100マイル近い速球が武器のアルバート・アブレイユをクローザーに据えている。アブレイユは現時点で7セーブ、6ホールド、防御率1.80と役割を果たしている。

 勤続疲労が出て救援に失敗するようになれば、クローザーの替え時なのは、だれでもわかるところだ。しかし、その「替わり」は簡単には見つからないのだ。

 ホールドという記録は、1試合で複数の投手につくことがある。また負け試合でもつくことがある。どのチームにも常時、多くのホールドを持った救援投手がいる。

再び「失格の烙印」を払拭できるのか

 しかしセーブは1つの試合で1つだけ、しかも勝ち試合でしかつかない。ほとんどのチームで多くのセーブ記録を持つクローザーは1人しかいないのだ。代わりのクローザーはほぼ間違いなく「経験が浅い投手」が務めることになる。

 実績十分のクローザーを降ろして、実績のない投手を、最終回に僅差リードというヒリヒリした状況でマウンドに上げるのは、どんな指揮官でも胃が痛くなるはずだ。

【次ページ】 再び「失格の烙印」を払拭できるのか

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