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「五輪への思い? うーん、あまりないです」松山英樹は本音をぶっちゃけてたけど…ゴルフ五輪代表争いが熾烈「男子ほぼ残り1枠」「女子は大混戦」
text by
桂川洋一Yoichi Katsuragawa
photograph byKatsuragawa Yoichi
posted2024/05/03 06:02
東京大会に続き、パリ五輪に出場濃厚な松山英樹(32歳)
さて、そのデッドラインまで2カ月もない。この期間中、男女ともに今季のメジャー第2戦と第3戦が行われる。まさにシーズン真っただ中に、国を背負うメンツが決まる。
日本の代表は目下、直近2大会と同じく、男女2人ずつが現実的。男子は世界ランク15位で“当確”の松山に次ぐ2番手の争いが熾烈だ。
ランク75位の中島啓太、88位の久常涼、89位の星野陸也は昨秋から今年3月までに、立て続けに欧州ツアーで初勝利をマーク。海の向こうでの好結果は、世界ランクの大幅アップに繋がり、パリに続く道を切り開いた。
中でも今季米ツアーに主戦場を移し、マスターズにも初出場した久常は昨年9月にフランスで優勝。会場が五輪コースのル・ゴルフ・ナショナルだったからこそ、「出たい思いは人一倍あるかなとは思う」と言うのもうなずける。彼ら3人に先んじて昨年2月、オマーンでのアジアンツアーで海外初優勝を飾った104位の金谷拓実にも、チャンスがわずかでも残っていそうだ。
とはいえ、彼らがみな、何が何でも五輪に出るために海を渡ったかというと、そこには疑問符が付く。モチベーションの順番は逆で、とにかく海外ツアーの職場を得るためにガムシャラでいたら、チャンスがふっとわいてきたというのが、表現として正しい気がする。
畑岡、古江、笹生…大逆転もありえる女子代表
さて、日本勢の女子は2枠を巡る争いが最後までもつれそうな構図にある。
畑岡奈紗(18位)、古江彩佳(23位)が上位2人。悲願の東京五輪メダルを逃した畑岡と、同じ3年前、ハイレベルな争いの末に代表の座を稲見萌寧に譲った古江が、それぞれの“リベンジ”に向けて好位置をキープしている。
そして3番手につけるのが25位の笹生優花だ。前回の東京大会にフィリピン代表として出場した後、22歳以上の重国籍を禁止する(20歳に達する前に重国籍となった場合)日本の国籍法に基づき、日本国籍を選んだ。
日本ツアーを主戦場にする山下美夢有(28位)は2年連続の年間女王として4番手をキープ。5番手の岩井明愛(41位)との差は少し大きいが、今後2つ控えるメジャーは世界ランクに反映されるポイントが一年で最も多く、最後まで大逆転の可能性を無視できない。
選手個々のパリに懸ける思いの種類や熱量はそれぞれ違う。
そうは言っても、五輪がゴルフに、新しい見方を提供してくれているのは確かである。