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福島移住した母娘を襲った大震災…“わたがしペア”東野有紗の母が語る13年前の壮絶な記憶「最初はバドミントンさせるつもりはなかった」
posted2024/05/02 11:06
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
Hiromi Higashino
一流アスリートの親はどう“天才”を育てたのか――NumberWeb特集『アスリート親子論』では、様々な競技で活躍するアスリートの原点に迫った記事を配信中。本稿では、バドミントン混合ダブルス日本代表・東野有紗(27歳)の母・洋美さんのインタビューをお届けします。(全2回の1回目/後編に続く)
「まさか本当にオリンピックに出るなんて……ね。それに、10年以上も(渡辺)勇大とペアを組むなんて想像もしてなかったです。そう考えるとまさに運命の相手ですね」
母・洋美さんは感慨深そうに語った。
2021年東京五輪、日本バドミントン界としては初めて混合ダブルスで銅メダルを獲得した東野有紗。中学時代に結成した1学年下の渡辺勇大とのペアは「わたがしペア」の愛称で親しまれている。現在、世界ランキングは3位(4月28日現在)。世界選手権では4大会連続で表彰台に上がるなど、日本の混合ダブルスの歴史を切り拓いてきた。
誰とでも仲良くなる天真爛漫な少女
東京五輪でも印象的だった天真爛漫な笑顔がチャームポイントの東野は、幼いころから底抜けに明るかった。活発な少女には母・洋美さんも手を焼いた。
「スーパーに買い物に行って椅子に座らせても全然じっとしていないんです。少しでも気を緩めるとどこかにいなくなってしまって。慌てて探してもなかなか見つからない。やっと見つけたと思ったら書店でしゃがみこんで本を読んでいたりして」
とにかく人懐っこい性格で、誰とでもすぐに仲良くなった。
「岩場に遊びに行ったとき、急に駆け出したと思ったら、そこにいる見ず知らずの大人の方に何か話しかけているんです。『岩についてる海苔を取っているんだって』とうれしそうに私に話をしてきて。人見知りはまったくなかったです」