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オリンピックPRESSBACK NUMBER
福島移住した母娘を襲った大震災…“わたがしペア”東野有紗の母が語る13年前の壮絶な記憶「最初はバドミントンさせるつもりはなかった」
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byHiromi Higashino
posted2024/05/02 11:06
母・洋美さんの後押しを受けてバドミントンに励んできた東野有紗
そんな東野がバドミントンを始めたのは小学1年生のとき。陸上をやっていた洋美さんは「小学校の授業で困らないように」とその他にも鉄棒やアスレチック、水泳、サッカー、スキーなど多くの習い事をさせた。
「最初はバドミントンをさせる気はなかったんです。ただ、小学1年生になる前に兄も通っていた陸上クラブの先生に問い合わせたら、小学3年生にならないと入れないと断られてしまって。そんな時、通っていた美園小学校でバドミントン教室があったので、それならまずは他の競技で身体作りをさせておこうかなと思って」
小2で全道制覇、“陸上”を諦めきれない母は…
最初はシャトル(羽)がラケットに当たらず泣き、試合をしても勝てず泣いていた。
ボランティアとして練習に参加していた洋美さんもそんな娘の姿を何度も目のあたりにした。だが、もともと足が速く、アスリート能力が高かった東野は小学2年生になると全道大会で優勝を果たし、全国大会に出場するなど少しずつ頭角を現し始めた。
実は陸上クラブの入部資格をクリアした小学3年時に東野を体験入部させている。だが、母の微かな希望はすぐに立ち消える。
「帰り道に、有紗から『私には(陸上は)合わない』と言われてしまって。それで私も完全に諦めました(笑)」
小学5年時にはU13ナショナルメンバーにも選出され、「有紗にはこのままバドミントンを続けさせた方がいい」と、中高はバドミントンを軸に進路を考えた方がいいと考えるようになった。