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濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「髪グチャグチャ、顔ドロドロでも輝ける」人気女子プロレスラー・安納サオリが迎えた充実期「なんかスターみたい、って(笑)」《特別グラビア》
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byTakuya Sugiyama
posted2024/04/26 11:04
スターダムとの“専属契約”を発表し話題を集める女子プロレスラーの安納サオリ
「髪グチャグチャで化粧落ちて顔ドロドロでも…」
団体同士だけでなく、世間との架け橋にもなりたい。常に悩み、考えているのはプロレスをより広く知ってもらうこと。初めて会う人に自分がプロレスラーだと言うと驚かれる。まずはプロレスを知ってもらうことから始めるしかない。
「私のこと、もしくはプロレスを知っていてくれたら、そこからもっとできる話があるのにって。そこが悔しくて」
パッと見て安納がプロレスラーだと思う人は少ないだろう。体格だけでなく、本人曰く「私服オーラゼロ」。普通の人よりも目立たないそうだ。
「でも、そういう私がリングの上でだけは輝けるんですよ。髪グチャグチャで化粧落ちて顔ドロドロでも輝いて見えるのがプロレスなんです」
デビューした団体アクトレスガールズに誘われた彼女が初めてプロレスを見た時もそうだった。スターダムの大会で、宝城カイリに目を奪われた。
「相手は覚えてないんですけど、カイリさんがひたすら顔面蹴られてたのは覚えてるんです。怖いのを通り越して目が離せなくて。しかも試合後に見せる笑顔がもの凄くカッコよかった」
「スターダムの看板を背負う」という立場で
プロレスは、ただ見て終わりということがないと安納。
「初めて見た時“プロレスってこんなに感情が動かされるんだ”って驚いたんです。それは自分がやるようになってからも変わらないですね。喜怒哀楽、何かしら動かされる。自分も経験があるから、たくさんの人にそれを味わってほしい」
スターダムの選手は全員、プロ意識が高いと安納は言う。昨年からスターダムで試合を重ねて、よりそう感じたそうだ。プロレスの、そして今のスターダムのポテンシャルから考えると、もっと世間に知られていいと安納は考えている。
「全員で頑張っていけば、自然にそうなると思うんですけどね。私は今、スターダムの看板を背負う立場にもなったから余計にそう思います。でも責任感とか今まで以上に頑張るとか、そういう気負いはないです。これまでもずっと“去年以上の自分になる”と思ってやってきたので。スターダムの安納サオリもそうするだけですね」
社長交代、団体創設者であるロッシー小川氏との契約解除と選手の退団、新団体旗揚げ。試合以外の話題が先行しがちだった最近のスターダムだが、本来あるべき形は試合でファンを魅了することだ。安納と羽南のタイトルマッチなら、それができる。2人はグチャグチャの髪でドロドロの顔で、最高に輝くはずだ。《インタビュー前編から続く》
(撮影=杉山拓也)