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フェルナンド・アロンソが45歳まで現役続行!「最後の重要なプロジェクト」…かつて「GP2」と罵ったホンダに抱き続けた尊敬の念と運命の糸
 

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尾張正博

尾張正博Masahiro Owari

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photograph byGetty Images

posted2024/04/25 11:01

フェルナンド・アロンソが45歳まで現役続行!「最後の重要なプロジェクト」…かつて「GP2」と罵ったホンダに抱き続けた尊敬の念と運命の糸<Number Web> photograph by Getty Images

2026年までの契約延長を発表したアロンソ。05年、06年のチャンピオンも7月で43歳の現役最年長ドライバーとなった

 ホンダとアロンソを結ぶ糸が再びつながり始めたのは21年。アロンソが3年ぶりにF1に復帰したこの年、ホンダはレッドブルとともにチャンピオンシップを争うほどたくましく成長していた。

 タイトル決定戦となった最終戦のアブダビGP。スターティンググリッド上で当時ホンダF1のマネージングディレクターを務めていた山本雅史を見つけたアロンソは、こう言った。

「絶対にチャンピオンを獲れ!」

 それはもちろん純粋にホンダへのエールでもあったが、いまにして思えば、ホンダをここまで育てたのは自分であり、いつの日かまたホンダで走りたいという願いも込められていたのだと思う。

アロンソが語っていたホンダ「3年間があったからこそ…」

 アロンソはかつてホンダについて、こう語っていた。

「僕たちが一緒にレースしていたとき、残念ながら彼らはそのパフォーマンスを十分に発揮することはできなかったけれど、僕たちは少しでもパフォーマンスを向上させようと切磋琢磨していた。それはホンダにとって貴重なレッスンになったことは間違いない。僕たちが過ごした3年間はとても厳しい期間だったけど、その3年間があったからこそ、その後のホンダは大きく改善することができた。だから、僕は少しも後悔していない」

 昨年5月にホンダが復帰を表明したとき、アロンソの心に新たな火が灯ったのは言うまでもない。

「ホンダはF1で多くの成功を収めたメーカーのひとつであり、F1以外にもモータースポーツの世界で成功している。僕が常に尊敬してきた会社だ。彼らがF1に復帰した2015年からの3年間はうまくいかなかったけれど、いまは問題をすべて解決した。彼らは現在このスポーツを支配し、この数年、(レッドブルとともに)世界チャンピオンの地位を保っている。

(HRCの)Sakuraには素晴らしいパワーユニットを作り上げる能力があるスタッフがいる。僕は日本の文化を心から尊敬している。再び一緒に仕事をする機会ができた。これは僕のキャリアのなかで最後の重要なプロジェクトになるだろう」

 あるホンダの関係者はこう語る。

「アロンソともう一度、仕事ができるということに、少し運命のようなものを感じます。今度一緒にレースするときは、あのときと違うホンダのパワーを見せたい」

 運命の糸によって織りなされる布が、栄光のフラッグとなることを祈りたい。

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