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フェルナンド・アロンソが45歳まで現役続行!「最後の重要なプロジェクト」…かつて「GP2」と罵ったホンダに抱き続けた尊敬の念と運命の糸
posted2024/04/25 11:01
text by
尾張正博Masahiro Owari
photograph by
Getty Images
フェルナンド・アロンソが、現在所属しているアストンマーティンと契約を延長し、2026年末までは現役を続行すると発表した。
今年の7月末に43歳を迎えるアロンソがあと2年ドライバーを続ければ、45歳までレースに出場することになる。45歳の誕生日を過ぎてもレースを続けたドライバーは1980年以降はだれもいない。直近でも、2度のワールドチャンピオンに輝いたグラハム・ヒルが、1975年のブラジルGPで45歳と345日で出走したのが最後だ。
アロンソがいまもなお、レーサーとしての火を心の中で燃やし続ける理由は何か? それはほかでもない、ホンダの存在だ。
今回、現役続行を決めるにあたって、アロンソは1年契約は頭になかったという。
「契約期間は重要なポイントだった。1年のプロジェクトに取り組むことは、僕にとって意味はなかったから」
なぜなら2年後の26年から、ホンダがアストンマーティンと組んで、パワーユニットマニュファクチャラーとしてF1に正式に復帰するからだ。
「僕にとって新しいプロジェクトで、現役を続行するために絶対に必要な要素だった。アストンマーティンに残るという決断を下した最大の理由だ」
苦難の時期を乗り越えて
アロンソとホンダには、過去に厳しい経験を共有した時期がある。
ホンダがマクラーレンにパワーユニットを供給していた2015年から17年までの3年間は、ドライバーを務めたアロンソにとって、それまでのキャリアで味わったことがないほど厳しい期間だった。15年に復帰したばかりのホンダのパワーユニットは馬力がなく、さらに壊れまくった。その惨状を嘆いたアロンソは無線でホンダのパワーユニットを、当時F1のひとつ下のカテゴリーだったGP2になぞらえて「GP2エンジン」と罵った。
その後、ホンダはマクラーレンと袂を分かち、18年からレッドブル・グループと提携。マクラーレンにとどまったアロンソは、その18年限りでF1のステアリングを置く決断を下した。両者が再び同じチームでF1を戦うことはないと誰もが考えた。