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“初昇格でJ1首位”FC町田ゼルビアと東京ヴェルディの哲学はどう違う? 16年ぶりJ1勝利の夜に城福浩監督が「やり方を変えない」と断言した理由
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byJIJI PRESS
posted2024/04/05 17:05
4月3日、第6節の湘南ベルマーレ戦で2008年10月18日以来となる“J1での勝利”をあげた東京ヴェルディ。選手の表情にも安堵と充実感がにじむ
開幕から5戦未勝利も“流れが変わった”第4節
2022年6月に城福浩監督が就任してからも、シーズンオフだけでなくシーズン中にも主力を引き抜かれている。J1、J2での采配歴が400試合を超える指揮官は、そのなかでもJ2を勝ち抜き、J1で戦えるチームを作り上げてきた。
ヴェルディの選手たちは「止める、蹴る」の水準が高い。それだけでなく、プレッシャーを受けながら前を向く、相手の逆を取る、相手の嫌がるところへボールを運ぶ、といったところまでがスムーズだ。
狭いスペースへ追い込まれた選手が、孤立することもない。サポートに入ってボールを受け、さばき、もう一度動き直してまたボールを受け、相手のプレスを回避するといった作業が、ピッチ上のいたるところで行なわれていく。
そうやってボールを保持しながら、チーム全体で前進する。ブラジル人GKマテウスも使って、DFラインからビルドアップする。中距離のパスで相手のプレスを回避することはあるが、彼らの攻撃から見えてくるのは「個」が織りなす「連動」だ。もちろん、ボール際の攻防やトランジションのスピード、プレーのインテンシティも徹底されている。
ところが、シーズンの入りは苦しいものとなった。
F・マリノスとの開幕節は、89分と90+3分の失点で1対2の敗戦を喫した。浦和レッズとの第2節も、1対0で迎えた89分にPKで失点し、勝点1にとどまった。
第3節のセレッソ大阪戦でも、PKを献上した。90+3分に決められ、1対2で敗れた。
勝ち切れない流れが変わったのは、第4節のアルビレックス新潟戦だ。この試合は1対2で終盤に突入したが、90分のゴールで追いついた。続く京都サンガ戦も、0対2から同点に持ち込んでいる。80分と90+3分のゴールで、勝点1をゲットした。
主将・森田晃樹の負傷交代で窮地に
4月3日に行なわれた湘南ベルマーレ戦も、15分の失点で追いかける展開となった。前半は1本もシュートを打つことができず、MF森田晃樹が前半終了間際に負傷してしまう。ビルドアップから崩しまでに関わる23歳の主将抜きで、後半は戦わなければならなくなった。