オリンピックへの道BACK NUMBER
「ペアにはつきものと言えるが…」りくりゅうが向き合った“ケガとの闘い”…それでも三浦と木原が世界選手権で見せた「2人ならではの世界」とは
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph byJIJI PRESS
posted2024/04/03 17:01
互いの怪我を乗り越え、世界選手権で銀メダルを獲得した三浦璃来、木原龍一
それでも表現した「2人ならではの世界」
ショートプログラムは『Dare You to Move』。「君はまだ立てるはずさ」の意味を持つ曲の世界を存分に表し2位スタート。
「自分たちの中で自信を持てる練習をしてきたので、リラックスしてできました」(木原)
「今シーズンは龍一君の怪我があってオータム、四大陸といいショートを滑ることができなかったんですけど、ほんとうにいいショートだったかなと思います」(三浦)
手ごたえを得た2人はフリーを迎える。曲は北京五輪のあった2021-2022シーズンの『Woman』を選んだ。
その演技も2人ならではの世界を築いた。冒頭は高さのあるツイストリフト。トリプルトウループから3連続ジャンプを着氷、その後も切れ味のあるデススパイラル、リフトなどを、ときにスピード豊かに、ときにダイナミックにみせていく。
結果、フリーは1位。総合では2位で銀メダルを獲得した。
それでもパーフェクトでなかったことに悔しさをみせるのは、いつもの三浦だった。それを包みこむような笑顔の木原も、いつもの木原だった。
深まった、互いをサポートする関係性
しかし、これまでとすべてが同じわけではなかった。
昨シーズンは開幕前に三浦の怪我があり、木原は懸命にサポートにあたった。今シーズンは初戦の前から予兆はあったものの、開幕してから木原の腰の状態が悪化し、試合に出られない期間が続いた。木原はトロントでリハビリに取り組む日々が続いたが、三浦も肩の強化のためリハビリに取り組んだ。
一緒に励むことで、2人一緒に強くなる。ブルーノ・マルコットコーチのアドバイスだった。