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ギャンブル依存症は欧州サッカーも蝕む…“3兆円級”イタリアの違法オンライン賭博騒動「真夜中にスマホで」“優等生MF”の転落証言が生々しい 

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弓削高志

弓削高志Takashi Yuge

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photograph byClaudio Villa/Getty Images

posted2024/03/28 17:26

ギャンブル依存症は欧州サッカーも蝕む…“3兆円級”イタリアの違法オンライン賭博騒動「真夜中にスマホで」“優等生MF”の転落証言が生々しい<Number Web> photograph by Claudio Villa/Getty Images

2022年のトナーリとザニオーロ。翌年の秋、違法オンライン賭博問題によってイタリア代表から離脱することになった

 落ち着かない私生活で知られるザニオーロはともかく、トナーリとファジョーリはそれぞれ名門クラブで健やかに成長した優等生のイメージが強かっただけに、事件発覚でファンは失望と怒り、同情や批判といった複雑な感情を抱え込むことになった。何よりショッキングだったのは、地検の取調べに対し、2人がともに「自分はギャンブル依存症です」と告白したことだった。

22年時点で違法オンライン賭博は3兆円に迫る勢い

 近年、イタリアでもオンライン賭博市場は爆発的に拡大している。

 実店舗や遊戯卓はなくとも、スマホかタブレットがあれば時間や場所を問わず気軽に賭け事に手が出せる。ポーカーやブラックジャックなどの古典的なカジノスタイルやスロットマシンの類が代表的だが、サッカーやF1、テニスやバスケット等を対象とするスポーツ賭博も増大の一途だ。

 オンライン賭博サイトは、SNSはもちろん地上波TVやCS放送等あらゆる媒体で宣伝され、チームや大会のスポンサーとしての露出も数多く、最早目にしない日はないといっていい。

 国内でセリエAの試合を中継配信する『DAZNイタリア』や『ガゼッタ・デッロ・スポルト』といった老舗新聞社も、こぞって自社サイト上にベッティングサービスを作り、いわば胴元として賭けを募る事業が今や常態化している。

 だが、オンライン賭博市場の急成長にともない、違法サイトの数や被害も急増している。

 イタリア国内の賭博行為の監督官庁にあたる金融経済省と国税庁の年度白書によれば、2022年時点での違法オンライン賭博の市場規模は最低でも185億ユーロ(※当時レートで約2兆9000億円超)とされ、昨年秋までにアクセスを禁じられた違法サイトの数は9828にも上った。

ポルノ、アニメ違法視聴サイトを開くと…

 違法サイトへのアクセスは非常に簡単だ。

 赤裸々な書き方になるが、青少年なら身に覚えがあるポルノサイトやこれも社会問題化しているアニメの違法視聴サイトを開くと、広告が矢継ぎ早にポップアップしてくる。その中に違法サイトは大量に紛れ込んでおり、派手なビジュアルと《今だけ! 入会ボーナス!》等の煽り文句に惹かれて軽い気持ちで一度だけ、というのがのめり込むパターンの一つだろう。

【次ページ】 “合法”オンライン賭博は違法行為にあたらない現実

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