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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
北朝鮮で怒られた「勝手に写真を撮ってはダメ!」日本人記者が初めて明かす“どんな国だった?”「冷麺が美味しい」「ナゾのホテル宿泊代」
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph by代表撮影/JIJI PRESS
posted2024/03/27 11:01
2011年11月14日、サッカーW杯3次予選の北朝鮮戦のため、平壌国際空港に到着した遠藤保仁ら日本代表(当時)
全員でマイクロバスに乗り込み、いざ平壌の市街地へ。主体思想塔などの観光地を巡るルートだ。ここで気になったのは、明らかにバスが綺麗に整備された道ばかり走ること。おそらく外国人に、北朝鮮の発展した姿だけを見せたいのだろう。さらに、綺麗なのは道だけではなかった。路上で交通整理をする女性警官が、みんな女優やモデルのような美人ばかり。これが噂の“喜び組”かと驚き、バスの窓からデジカメのレンズを向けると、それまで優しかったガイドさんに「勝手に写真を撮ってはダメです!」と怒られた。反省。
“無敗だった”日本が負けた…
キックオフの約1時間半前、ようやく決戦の舞台・金日成競技場に入った。そこでいきなり度肝を抜かれた。今まで中東や南米、アフリカでもアウェー戦を取材してきたが、ここは世界中のどのスタジアムとも雰囲気が違う。記者席に座った途端、報道陣みんなが声を漏らした。
「すげぇ」
黒いコートを着込んだ5万人の観衆でスタンドはびっしり埋まり、彼らが一糸乱れぬ動きでボードを掲げて「チョソン・イギョラ(朝鮮勝て!)」の大マスゲームを披露する。日本代表がウォームアップのために姿を現すと、観衆が手にしたメガホンから大ブーイング発生。試合前、君が代が流れるとその音量はさらに上がった。
この異様な雰囲気に、日本は飲み込まれた。序盤から北朝鮮が蹴り込むロングボールと、激しいフィジカルコンタクトに苦戦。攻めても、硬い人工芝のピッチに対応できず、ミスが頻発してチャンスを作れない。後半5分にはFKの流れから先制を許すと、そのまま逃げ切られ、ザック体制発足以来続いていた無敗記録は17で止まった。
美味しい冷麺、最上階のバー
スタジアムで原稿を書き終え、ホテルで平壌最後の晩餐が始まった。意気消沈の日本メディア。一方、北朝鮮人ガイドさんは当然、ご機嫌だった。テーブルにはホッケなどの焼き魚やサムギョプサル、キムチなどなど。多彩なメニューが並んだ。