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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
北朝鮮で怒られた「勝手に写真を撮ってはダメ!」日本人記者が初めて明かす“どんな国だった?”「冷麺が美味しい」「ナゾのホテル宿泊代」
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph by代表撮影/JIJI PRESS
posted2024/03/27 11:01
2011年11月14日、サッカーW杯3次予選の北朝鮮戦のため、平壌国際空港に到着した遠藤保仁ら日本代表(当時)
この夕食だけでなく、北朝鮮での食事はどれも美味しかった。中でもMVPは、平壌名物の冷麺。まるで優勝カップのような豪勢な器に盛られた灰色の麺は、ツルツルシコシコ。さっぱりしているのにダシも利いていて、日本ではなかなか出合えないクオリティだ。
さらにはお酒も充実。平壌市内で製造されているという大同江(テドンガン)ビールは飲みやすいのにしっかりコクがあって、何杯でも飲めちゃう。日本敗戦のやけ酒だとばかりに、次々とジョッキを空けていたら、北朝鮮ガイドさんに2次会に誘われた。
「最上階にバーがあるので、行きませんか?」
エレベーターの扉が開くと、バブリーな空間が広がっていた。煌びやかな照明の下に、豪華なテーブルとソファが並ぶ。高級ホテルにある一流バーそのものだ。お酒はビールだけでなく、外国製のウイスキーやスピリッツが揃う。ここでハイボールを煽りつつ、日本の不甲斐ない戦いぶりを嘆きながら、平壌最後の夜は更けていった。
帰国日…ホテル代のナゾ
16日、帰国の日。早朝にホテルのフロントに集合し、チェックアウトの手続きをする。このとき報道陣には、不安なことがあった。
「ところで、ここのホテル代っていくらなんだっけ?」
JFAでの事前ミーティングでも、正確な値段はわからないとのことだった。とりあえず、「2泊3日で10万円分のユーロを用意しておけば安心」とだけ言われていた。僕も確か、900ユーロほど持参していた。
チェックアウトの手続きは、なぜかフロントではなく一人ひとりが個室に呼ばれて行われた。そこで明細が示され、その金額を払う。僕の場合は、手持ちのお金がぴったりなくなる額だった。とりあえず、お金が足りて良かったと安心していると、他の記者仲間たちも「ちょうど残金ゼロになった」という。それぞれ持ち込んだ金額は違うのに、である。