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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
北朝鮮で怒られた「勝手に写真を撮ってはダメ!」日本人記者が初めて明かす“どんな国だった?”「冷麺が美味しい」「ナゾのホテル宿泊代」
posted2024/03/27 11:01
text by
松本宣昭Yoshiaki Matsumoto
photograph by
代表撮影/JIJI PRESS
3月26日に予定されていたサッカーW杯予選の日本対北朝鮮戦は、「自国開催は困難」という北朝鮮側の事情で、まさかの「実施されない」ことが発表された。だが、かつて北朝鮮で行われた日本代表戦を取材した記者に驚きはなかった。その時も想定外の事件が続出していたからだ。2011年11月、あのアルベルト・ザッケローニ時代。同行した記者が見た北朝鮮の実態とは。デジカメ没収の危機、ホテル最上階の高級バー、冷麺に唸った現地グルメ、謎の宿泊代……続出していた“ビックリ事件”を明かす。<全2回の2回目>
「とにかく部屋に戻れ」不通だったWi-Fiが…
2011年11月14日、試合前日。平壌市内のホテルで原稿に取り掛かる。パソコンを開いて机の上に伸びたLANケーブルを差し込み、インターネットブラウザを開く。ところが……
あれ? つながらない。フロントで教えてもらったとおりの手順でやっているのに、何度やってもネットにつながらない。まずい。 慌てて部屋を出て、フロントに駆け込んだ。
「インターネットがつながらない! どうにかしてください!」
悲痛な僕の叫びを見ながら、フロントマンは冷たく笑った。
「大丈夫。とにかく部屋に戻れ。戻れば、つながるから」
そう言い放ったまま、何か手助けしてくれる様子はない。納得できない。でも、時間がない。急いで部屋に戻り、すぐにパソコンを触ると……インターネットにつながってる。何も操作してないのに。もしかしてフロントに行っている間に、誰かこの部屋に入った? 信じるか、信じないかはあなた次第。真相は不明のまま。無事に原稿を各社に送り終えた。
平壌観光中に…「勝手に写真を撮ってはダメです!」
15日、北朝鮮戦当日。我々報道陣は、午前中から気合を入れてスタジアムへ――ではなく、観光へ繰り出すことになった。
この遠征中、日本メディアには常時2人の北朝鮮人ガイドがついた。日本語はペラペラ。ホテルの廊下の警備員とは異なり、陽気で、気さくに質問にも答えてくれる。ただし、食事時間やホテル外での行動は彼らの指示に従わなくてはならない。この観光も、いくら仕事を抱えていようと絶対参加が義務付けられていた。