濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
2009年生まれの中学生レスラーが目指す文武両道…美蘭(14歳)が観客を驚かせたド迫力エルボー「中学生、高校生のレスラーは意識します」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byEssei Hara
posted2024/03/24 17:00
スターダムの新人王座に挑戦したディアナ所属の中学生レスラー・美蘭(14歳)
「大好きな世羅さんとタッグを組むことができたので、形になる結果がほしいです、絶対。それに同世代の選手がタイトルに絡むことが増えているので、負けてられないです」
美蘭のディアナでの同期は1972年生まれのHimiko。美蘭とは逆で、50歳を目前に憧れの女子プロレスの世界に飛び込んだ。親子のような年齢差だが、同期は同期だし負けたくないという気持ちも強い。
「ジャガーさんがよく言われるのが“リングに上がったらキャリアも年齢も関係ない”ということ。それを一番感じる相手がHimikoさんなんです」
アイスリボンの咲蘭など、他団体にも中学生女子レスラーがいる。2023年は各団体デビューラッシュ。美蘭には世代的にもキャリア的にもライバル候補がたくさんいる。それはレスラーとして恵まれた状況だと言っていい。
「特に中学生、高校生のレスラーはやっぱり意識しますね。あ、小学生も。1月にディアナのプロテストに合格したのは小学4年生なんです」
春から中学3年生…目指す文武両道
学校に通いながら練習、試合をする大変さが分かるし、近い年代だからこそのライバル心もあると美蘭。
「学生の選手との試合は、負けたくない気持ちが倍くらいになります」
タッグ王座獲得に加えて、先輩たちのようにプロデュース大会もやってみたいという。
「今の自分にしかできないマッチメイクもあると思うので」
たとえば学生レスラーが集結する試合も可能だろう。美蘭自身は、春から中学3年生。高校受験も考えなくてはいけない。
「ちょっと今の学力だと志望校が限られてくるので(笑)、勉強も頑張りたいです。ただタッグベルトも本気で狙いたい。受験前には休業することになると思うんですけど、ギリギリまで試合に出られたらと思ってます」
これからやりたいこと、夢がいっぱいあるんです、と言う美蘭の表情には屈託がまるでない。当たり前だが、彼女には未来しかないのだ。タッグ王座戦が決まったら、その眼がもっと輝くのだろう。