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スターダムを去るジュリアに中野たむが「呪いをかけてあげる」…“二人だけの世界”の結末はどうなる?「私以上のライバルとか絶対に許さない」
posted2024/03/19 17:00
text by
原悦生Essei Hara
photograph by
Essei Hara
「STRONG女子のベルトはメルセデス・モネのために作られたベルトっていうのを何度も目にしたり聞いたりした。それが悔しくて。でも少しはジュリア色に染まってきたかな」
STRONG女子王座10度目の防衛戦を前にそう語っていたジュリアは3月10日、後楽園ホールで、メキシコCMLLからやって来たステファニー・バッケル(チリ)に押さえ込まれてしまった。こうして新日本プロレスのタイトルであるSTRONG女子王座はジュリアの手を離れた。
あのヒールが「スターダムに来てくれてありがとう」
この3月でスターダムを退団するジュリアは、STRONGのベルトをバッケルに託したようにも見えた。それを匂わせる言葉も口にした。同時に噛み合わない相手だとも表現した。
それでいてバッケルが漂わせるプロフェッショナルな雰囲気を感じることができた。それはモネのような洗練された華やかさではない。だが、もっとストロングなものをバッケルは持ち合わせていた。
「私がSTRONGチャンピオン」と胸を張るバッケルに対して、ジュリアは「またどこかで戦うことになるかもしれない」という予感を口にした。
話は少し前の2月17日、刀羅ナツコとの一戦に遡る。これは見ごたえのある試合だった。ジュリアが振り下ろしたテーブルの天板は、刀羅の頭がそれから抜けなくなるほど強烈だった。一方の刀羅はハサミでバッサリとジュリアの髪を切り落とした。
ジュリアがノーザンライトボムでフォール勝ちした。二人ともリングに正座して別れのセレモニー。それまでの激しさと好対照なシーンだった。刀羅は「スターダムに来てくれてありがとう。こんな試合、オマエとじゃなきゃできねえよ」と“らしくない言葉”まで口にした。
それなのに時間が経てば、刀羅ら大江戸隊は無冠となったジュリアを「とっとと消えろ」と踏みつけた。大江戸隊らしいジュリアへの追い出しセレモニーだった。
「めっちゃ悔しい。今までSTRONGに挑戦してきてくれたやつら、一人も忘れねえよ。バッケル、そして刀羅ナツコ、大江戸隊の諸君、てめえもだよ。プロレスラー、ジュリアはこれで終わりじゃない。ここからが始まりなんだよ」
「あんたは中野たむを一生引きずって生きろ」
ジュリアの「スターダム最終章」のカウントダウンは進んでいる。リングを降りたジュリアと通路で対峙したのは中野たむだった。ジュリアから赤いベルト(ワールド・オブ・スターダム王座)を奪った女だ。