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「圧倒される肉体美」を目指す新人女子プロレスラー…コンテストにも出場するZONESが語る“理想像”「実は体重が10kg減ったんです」
posted2024/03/26 11:00
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Norihiro Hashimoto、本人提供
スターダムで5人の新人が誕生するなど、昨年は女子プロレスラーのデビューラッシュとなった。その中でもとりわけ強い個性を発揮しているのがEvolution所属のZONESだ。
読み方はゾネス。アマゾネスの「ゾネス」である。プロレス入りする前からのあだ名だそうだ。名前に負けないビジュアルというのか、ビジュアルそのままのネーミングというのか。試合ぶりもパワフルそのもの。センダイガールズで新人たちが争う「じゃじゃ馬トーナメント」で優勝し、4月のディアナ後楽園ホール大会で新人王座クリスタル選手権に挑むことも決まった。
自転車販売チェーンの店長→林業→プロレスラーに
新人では珍しいパワーファイター。プロレス入門前からコンテストに出るくらい筋トレ、ボディメイクに打ち込みトレーナーも。ワイルドな雰囲気も含め新人離れしているのは「これまでの人生経験が出てるんじゃないかと思います」とZONESは言う。
以前は会社員。自転車販売チェーンの店長として働きながら、ムエタイのジムに通っていたことも。ただボディコンテストに出るために減量していて疑問に感じることがあった。
「減量すると集中力が落ちて、同僚への態度がよくなかったりすることもあったんですよ。仕事に支障が出るまで鍛えるのってどうなんだ、自己中、自己満足じゃないかって」
仕事に対する疑問も出てきた。人生このままでいいのか、と。
「のめり込む性格なので、仕事も気合いと根性で何とかしてきた感じでしたね。でもそれでは限界がきてしまって。漫然と会社員やって、自己満で筋トレして終わるのかと」
「ここまできたら怖いものなんてない」
都会ではなく山の中で暮らそうと思った。実家が林業を営んでおり、自分も学校に通ってチェーンソー、高性能林業機械などの資格を取る。狩猟の免許も取得した。だが家族の事情で林業から離れることに。東京でジムのトレーナーをしていた時に見たのが、新たな女子プロレス団体「Evolution」の練習生募集広告だった。
「インスタのストーリーを見てたら出てきて。すぐ応募しました。その時に東京にいなかったら応募してないし、広告がプロレス雑誌にしか出てなかったら知らないままだったでしょうし。まったくの偶然だったんですけど」
好きなボディビルダーがアメリカでプロレスの試合をしていたこともあり、人前で表現することへの興味があった。人生を変えるターニングポイントだと直感的に思ったのだ。
ZONESの生い立ちは複雑だという。プライベートのトラブルで嫌な思いをしたこともある。
「自分にとっては、そういう経験をしてきた上でのプロレスなんです。ここまできたら怖いものなんてないし、いろんな意味での“強さ”を見せられると思ってます」