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「NBA入りのチャンスはある」富永啓生23歳は“米大学バスケの甲子園”でも輝ける? 元NBA監督が賞賛「ケイセイは大舞台を恐れない」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byGetty Images
posted2024/03/14 17:04
大学ラストイヤーに大きな飛躍を遂げた富永啓生(23歳/ネブラスカ大)。カレッジ選手が憧るNCAAトーナメントへの出場が濃厚となっている
まずは13日から始まるビッグ10カンファレンス・トーナメントに第3シードという好位置で臨み、17日、NCAAトーナメントの出場チームが発表される“セレクション・サンデー”が待ち受ける。その後、ついに開幕する“マーチマッドネス”では、ネブラスカ大は少なからずの注目を集めるのではないか。
優勝候補に挙げられるような戦力ではないが、1月9日にはその時点で全米ランキング1位だったパデュー大、2月1日には同6位のウィスコンシン大を下したネブラスカ大には大物食いの魅力がある。シーズン最後の7戦中6勝と上昇気配。その間、カンファレンス戦開始後は6連敗と苦手だったアウェイ戦でも2勝を挙げてジンクスを打破した。怖いもの知らずのネブラスカ大が上位進出を目指した時、鍵になるのが23歳の若さですでに経験豊富な富永であることをホイバーグHCも認めている。
「啓生は大舞台を恐れない。彼はすでに日本を代表してW杯というビッグステージを踏んでいるし、私の意見では母国代表チームでも最高レベルのプレーをしていた。今回の新たなチャレンジに臨む順位ができていると思う。トーナメントでも主軸としての活躍を期待しているよ」
米スポーツファンの間でNCAAトーナメントの人気は絶大であり、日本人からは甲子園大会に例えられるほど。大会期間中はこの大会の話題で持ちきりになり、多くの選手が“マーチマッドネス”で活躍することで飛躍的に知名度を高めていった。日本出身の超絶シューターにとっても、評価向上の絶好機であることは間違いない。
楽しみなクライマックス、そしてその先
現在戦っているカレッジ最後のシーズンのあと、富永がさらに大きな舞台を目指していることも日本のファンならもうご存知のはず。そこに続く道筋を思い描いた上でも、NCAAトーナメントは余計に大切な戦場だといえよう。
「もう啓生の名前は十分に知られているし、評価もされている。そのシュート力がゆえに、NBA入りのチャンスはある。彼にとって重要な夏になるのだろう。チャンスを掴みきることを私も願っているよ」
ホイバーグが熱っぽく語ったそんな“願い”は、日本のバスケットボールファンに共通の思いでもあるだろう。今週末、より明るい未来に向け、楽しみなカレッジキャリアのクライマックスがスタートする。富永が“マーチマッドネス”で真の意味で全国区に躍り出たとき、その先に続く道もうっすらと見えてくるはずである。