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[超人ギータ覚醒秘話]柳田悠岐「常にキャリアハイを目指して」
posted2024/03/09 09:01
text by

田尻耕太郎Kotaro Tajiri
photograph by
Nanae Suzuki
プロ野球選手もはじめは野球少年だった。イチローが田尾安志にあこがれ、松井秀喜は掛布雅之を目指したように、のちの大スターにも心のヒーローが必ずいた。少年期の柳田悠岐の瞳に最も輝いて映ったのは、地元カープの野村謙二郎だった。
それは紛れもない一目惚れだった。
「いつかは覚えてないけど、広島市民球場に応援に行った試合で野村さんの先頭打者ホームランを見たんです。それからッスね。あの弾道は鮮明に覚えてます。右中間にバーンって打ったんです」
野村は'95年に打率.315、32本塁打、30盗塁の成績でトリプルスリーを達成していた。「あんなカッコいい選手になりたい」。柳田が目指す選手像は最初から出来上がっていた。プロでは外野手で6度のゴールデン・グラブ賞に輝いているが、小学生ではずっとショートを守っていた。グラブは野村モデル。また、もともと右で打っていたが、6年生になるときに指導者の勧めで左打者に転向した。
ただ、当時はこの男が未来の球界を代表する怪物選手になるとは、本人も含め誰も予想していなかった。名のごとく「柳」のように細く頼りない体。中学時代も主な打順は9番だった。高校生になると3年間で身長が約20cmも伸び、地元強豪の広島商高で3番を打つまでになったが、体型は相変わらずガリガリのままだった。
こちらは雑誌『Number』の掲載記事です。
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