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オリンピックPRESSBACK NUMBER
「東京五輪でファンになりました」って俺、負けたのに? スケボー世界王者・白井空良のホンネ「全盛期は今、誰よりも本気で。でも…」
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byAsami Enomoto
posted2024/03/08 11:02
パリ五輪代表切符争いが佳境を迎える中、スケートボード世界王者の白井空良がインタビューに応じてくれた
「オリンピックに懸ける思いは強いですし、勝ちたいと思ってる。でも負けても終わるようなものじゃないのがスケートボード。それがいいところだし、それがカッコいいところでもある。もし自分がアスリートになってしまったらオリンピックで負けてしまったときに代えが利かないというか、カッコいい方に戻せないような気がするので、アスリートらしいアスリートにはなりたくないです」
スケートボード界最高峰のプロツアーとしてSLSがあり、東京オリンピック前はSLSの成績によって五輪ランキングのポイントが得られるようになっていた。ところが、東京大会後はその協力関係が消滅し、分離してしまった。SLSは従来通りツアーが行われていて、五輪出場のポイント獲得には世界連盟が主催する新たな大会に出なければいけなくなった。選手の負担は倍増した。
本気で。誰よりも本気でやろうと思ってます
一つミスを犯せば鉄のレールやコンクリートに体を打ちつけられ、大怪我のリスクと常に背中合わせ。大会のたび、滑るたびに恐怖やプレッシャーで精神をすり減らす。それなのに、それだけ多くの大会に出続けるのは並大抵のメンタルではできない。白井は不安で夜も眠れず、睡眠薬の助けを得ることも決して珍しくはなかったという。
昨年はSLSをほぼ回避していたが、もうここからは突っ走るしかない。今年は2月24日にパリでのSLSに出場し、一度帰国して翌週にUAEでのオリンピック選考会出場とハードな日程をこなしている。
「全盛期は今。だからやれることはやる。本気で。誰よりも本気でやろうと思ってます」
やらなければいけないことが山積みでもやり切る。その思いは他競技のアスリートとまったく変わらない。
それでも、2度目の大舞台を目指すスケーターは最後にもう一度言った。
「でも、それだけが全てではないかなと思ってます」
<つづきは第2回>