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「親への一生の恩返しになる」
スケボー白井空良、五輪で金を狙う。
posted2020/03/08 08:00
text by
松原孝臣Takaomi Matsubara
photograph by
Yuki Suenaga
滑走音が広い空の下に響く。
冬晴れの1月中旬、神奈川県にある公園の一角。黒キャップに白いパーカー、ジーンズに身を包んだ青年が足をスケートボードに乗せ、走ってくると、トリック(技)を繰り出す。そのさまは、ボードが足元に吸いついているかのようだ。
失敗すれば、「ああ」と悔しがる。何度もチャレンジする。そこに限りない真摯さが漂う。
ついに成功する。
「やっと決まりました」
白井空良は笑顔を見せる。
東京五輪の代表を目指し、そしてメダルを目標に掲げるトップスケートボーダーの1人だ。
五輪予選を兼ねた大会で優勝。
スケートボードは2種目あり、白井が取り組むのは「ストリート」。手すりや階段などを模した構造物(通称セクション)が配置されたコースで実施され、選手はそれらを使って技を繰り出す。
2月20日の時点で、白井のストリート男子の世界ランキングは4位。
数々の大会で残した成績に基づくこの順位が、白井が備えた実力を物語っている。
躍進を遂げたのは2019年の終盤からだった。
「去年は、自分がいちばん驚いているけれど、すべてがうまくいっていました」
11月には、リオデジャネイロで行なわれたSTUオープンで優勝。五輪予選対象大会での優勝をこう振り返る。
「世界大会での優勝って、夢のまた夢だったので驚きました」