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オリンピックPRESSBACK NUMBER
「東京五輪でファンになりました」って俺、負けたのに? スケボー世界王者・白井空良のホンネ「全盛期は今、誰よりも本気で。でも…」
text by
雨宮圭吾Keigo Amemiya
photograph byAsami Enomoto
posted2024/03/08 11:02
パリ五輪代表切符争いが佳境を迎える中、スケートボード世界王者の白井空良がインタビューに応じてくれた
「東京オリンピックが終わって後悔することが多かったんです。まだこれができたなとか、ここは全然ダメだったなって。パリでは勝っても負けてもいい。終わった後に後悔がなければ、それでいいです」
ヒザの度重なる大ケガ…白井は入念に準備運動を
白井の練習拠点『THE PARK SAMUKAWA』は、白井の出身地から近い神奈川県寒川町にある。大きなガレージの中はスケートボード用のセクションとBMXフラットランド用のスペースに分かれており、東京オリンピック後はより大きなセクションが設置できるように改修もした。
この日パークにやってきた白井は、写真撮影を始める前に「ちょっと時間をもらっていいですか?」とストーブの前に立ち、片足での二重跳びなど縄跳びでウォーミングアップを始めた。
東京オリンピック前年の2020年4月に前十字靭帯を断裂していた左膝の手術を受け、昨年8月に東京で行われたSLSの公式練習で再び膝を痛めた。病院で検査をすると半月板が切れていたという。パリ五輪までのスケジュールを考えれば手術をする時間はない。担当医は「そのままでも大丈夫だ」と言ってくれたし、白井も手術の選択肢は頭になかった。実際にその膝で世界選手権も勝てた。
だから今はウォーミングアップやケアをしてから滑る。本当ならば、入念なウォーミングアップやケアを怠らないと書きたいところだが、そのあたりはさじ加減、なのがスケーターらしさだろうか。
「いつもはもう少し跳ぶんですけど、今日は来るのが遅くなっちゃったんでちょっとだけにしました(笑)。練習中は大丈夫ですけど、動き始めだけちょっと膝が痛いんです」
負けても終わるようなものじゃない
少しだけアスリートっぽく見えたと伝えると、「そんなにアスリートになりたくないので」と照れるというより素直に嫌がった。