Number ExBACK NUMBER
元巨人のプロ野球ピッチャーですら補欠に「僕が入るスキがなかった」史上最強“雪合戦チーム”とは何者なのか?「あの元甲子園球児も在籍」
text by
中村計Kei Nakamura
photograph byKei Nakamura
posted2024/02/23 17:01
競技雪合戦の雪球。専用の雪球製造機で作る。試合は7人対7人の3セットマッチ(1セット3分)で行われる
「彼らの強さの一つは、ほとんどノーサインだということ。普通、『一斉攻撃』といってかけ声などでタイミングを合わせて1人を集中的にねらったりするのですが、彼らは自然と当たりやすい選手のところに球が集まるんです。それだけチームの意思統一が徹底されている。指揮者がいなくても一切乱れないオーケストラみたいなものですよ」
元巨人ピッチャーでも補欠に…
じつは一時期、かつてプロ野球選手だった西村優希(元巨人、2007年育成ドラフト2位)がメンバーに所属していたことがある。遠軽高校時代、最速146キロを誇った身長187センチの大型右腕である。ただ、それほどの豪腕でも当時のチームでは補欠に回らざるを得なかったという。
「もうチームが完全にできあがっていた。僕がつけいる隙はなかったですね。あと、僕は体が大きいのでシェルターに入っても体を隠し切れない……。それも不利でしたね。でもヘルメットに雪球を当てるのは快感でしたよ。シェルターからちょうど頭が出てくるタイミングを見計らって、パッカーンって」
史上初“3度目の連覇”なるか
でぃくさんズ神出は今年、3度目の連覇に挑むことになる。ただ、前哨戦といわれる北海道オープンでは、1勝もできずに予選リーグで敗退した。
雪合戦界もコロナ禍の影響をもろに受けた。2020年から2022年までほとんどの大会が中止に追い込まれ、練習施設は次々となくなった。チーム数は激減し、でぃくさんズ神出のメンバーの士気は著しく低下した。そのためでぃくさんズ神出は去年も今年もぶっつけ本番で試合に挑んでいたのだ。田村は言う。
「北海道オープンの負けをみんながどう思ってるのか。僕は待ってますよ。みんなが練習をやろうというんだったら、僕はとことん付き合いますから」
雪合戦界最大の祭典、昭和新山国際雪合戦は2月24、25日の両日に開催される。昨年、4年振りに開催された同大会は運営費の削減から決勝のときのみ使われるセンターコートの設営を断念した。しかし、今年はすべての雪合戦プレーヤーが憧れる、そのセンターコートも復活する見込みだ。