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DeNA戦力外→アメリカ最高峰の独立リーグで打率3割超え&42盗塁、乙坂智30歳が振り返る「“MLBのショーケース”で起きていたこと」「筒香嘉智との再会」 

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石塚隆

石塚隆Takashi Ishizuka

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photograph byTomo Otosaka

posted2024/02/26 11:01

DeNA戦力外→アメリカ最高峰の独立リーグで打率3割超え&42盗塁、乙坂智30歳が振り返る「“MLBのショーケース”で起きていたこと」「筒香嘉智との再会」<Number Web> photograph by Tomo Otosaka

2023年、アメリカ独立リーグで最高峰と名高いアトランティックリーグで好成績を収めた乙坂。一体どんなシーズンを過ごしたのか

「アメリカを意識したオフの過ごし方や、過去NPBで対戦した外国人投手をイメージしてのトレーニングがハマりましたね。また、気持ちの面でも、MLBのスカウトが見ている可能性が高いですし『いいプレーでアピールするぞ!』ってモチベーションは高かったです」

10キロぐらい体重が落ちた

 だが、いい時期は長くは続かず、成績は下降線を描くようになる。大きな原因は、野球以外の環境面の厳しさにあった。それは前年に経験した中南米以上のものだったという。

「待遇面は中南米よりも劣りましたね。食事はミールマネーが出るにせよ、物価高の影響で朝食でさえ3000円ぐらい掛かりますし、遠征先のホテルも自腹なので月に4~5回泊まると月給を超えてしまう。だから自炊するようになりました。あとは移動ですよね。メキシコやベネズエラだったら長くてもバス移動は10時間ぐらいなんですけど、例えばヨークのあるペンシルベニア州からサウスカロライナ州への遠征だとバスで14~15時間。しかも到着してすぐに着替えて試合の準備ですからね。また気候もペンシルベニアが気温8℃だったらサウスカロライナは32℃とか。体力的にも精神的にもタフじゃないと環境に食われてしまう。僕はアメリカにいる時、ひどいときは10キロぐらい体重が落ちましたからね」

過酷な長距離移動の一例 写真は本人Xよりある日の移動。過酷な長距離移動が日常茶飯事だった 写真は本人Xより

自分をだましていた

 試合スケジュールは、13日間でダブルヘッダーを入れて15連戦もあれば、シーズン終わりには21連戦もあったという。大概のことは中南米で経験していたつもりだったが、衣食住を満足に得られない独立リーグの過酷な生活は、心身を否が応でも蝕んだ。

「まあでも条件は皆一緒ですからね。そこから這い上がっていくしかない。どうやって気持ちを保っていたか? 僕の表現だと“ぼかす”っていうか、自分をだましていましたよね。『もう全然余裕、イケる、イケる!』って自分に言い聞かせていました」

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