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藤浪晋太郎のために7カ月休職…29歳の競馬実況アナウンサーはなぜ単身渡米したのか?「死ぬ時に後悔したくない」「最後の最後まで悩みました」 

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堀尾大悟

堀尾大悟Daigo Horio

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photograph byYuhi Hattori

posted2024/02/28 06:02

藤浪晋太郎のために7カ月休職…29歳の競馬実況アナウンサーはなぜ単身渡米したのか?「死ぬ時に後悔したくない」「最後の最後まで悩みました」<Number Web> photograph by Yuhi Hattori

藤浪と関西テレビアナウンサーの服部優陽。競馬や野球の実況アナとして活躍していた彼がなぜ休職を決断し、アメリカへ向かったのか

迷惑をかけることになることは承知しています。でも…

 渡米して藤浪の挑戦を見届けるとなると、シーズン中の4月から10月は会社を離れることになる。競馬実況のアナウンサーとして将来の「3冠実況」を夢見る服部にとって、それは苦渋の決断だった。

 実は、同局の競馬班でGIレースの実況を担当していた先輩アナウンサーが、翌年に報道班に異動することが決まっていたのだ。花形のGI実況の席が1つ空くことになり、重賞レースの実況経験のない服部も「来年はおそらく重賞を喋ってもらうぞ」と“昇格”を告げられていた。休職は、その大きなステップアップの機会を逃すことを意味していたのだ。

「重賞」をとるか、「藤浪」をとるか――悩みぬいた末、服部は意を決して会社に告げる。

「迷惑をかけることになることは承知しています。でも、どうしても彼の挑戦を、この目で見届けたいんです」

 休職制度はあるものの、育児や病気、留学での休職はあっても「野球選手に付いてアメリカに行く」などといった休職理由は聞いたことがない。通常の会社ならありえないだろう。案の定、会社からは「過去に前例がないからどうなるかわからないよ」と言われてしまった。

 となると、あとは退職か……服部はアナウンサーとして最大の岐路に立たされた。

否定的な見方をされることも覚悟していた

 そんな服部の葛藤は藤浪も知っていたので、陰でいろいろと動いてくれていたようだ。担当代理人であるスコット・ボラスの事務所に「何か仕事を与えられないか」と掛け合ってくれたり、藤浪が個人所有する会社で雇用する、などの提案をしてくれた。

 しかし、最終的には所属する関西テレビが休職制度の適用を許可し、服部の決断を後押ししてくれた。

【次ページ】 死ぬときに「アメリカに行かなかったよな」と後悔したくない

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