酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
「オオタニ、アクーニャJr.がMVP。シンプルな話だ」ドジャース大谷翔平も活用…“米国最先端データ”関係者が明かす「一流打者の核心」
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byKou Hiroo/JIJI PRESS
posted2024/02/20 17:02
大谷翔平がデータチェックするのが話題だが、「ドライブライン」のダニエル・カタラン氏が沖縄にて興味深いことを語っていた
「どうやったらボールを強く打てるか? バットスピード、これに尽きる。君たちはさっき、ブラストで計測をした。ここで出てくるのはバットの芯の加速度の数字だ。バットの芯の加速度を大きくすることが、ボールを強く打つことにつながっていく。
一流のバッターと三流バッターは何が違うかと言うとバットスピードだ。今年のメジャーリーグで、バットスピードが速かったのは誰かと言うと、大谷翔平とアクーニャJr.だ。2人はMVPに選ばれた。凄くシンプルな話だ。
強い打球を打てなかったり、左中間や右中間にいい打球が打てないのは、単純にバットスピードが足りないからだ。バットスピードは、成功と凄く相関関係が高い。バットスピードが速い人が率も残せたり、成功を収めているというデータがある。ブラストのデータでいうとメジャーリーガーの計測スピードは115km/hくらいが平均だ。
もし君が、ブラストで115km/hを出したら『よっしゃー!』と叫びたくなるかもしれないが、喜ぶのはまだ早い。君たちが計測しているのは、バッティング練習だということ。素早く反応しなければならない試合中に、メジャーリーガーはこの数字を叩きだしている。でも、そこからがスタートだ。
ちなみに大谷翔平は128km/hくらいの数字を出している。それくらいでバットを振れば、そんなにいいボールコンタクトでなくても、めちゃくちゃに飛ぶんだ」
どんな練習をすべきか?ジムに行け!(笑)
さらにダニエルは「練習」にも言及した。
「どうやって鍛えていくのか? バットスピードを上げていくのか? 強く振る、爆発力、出力を上げる、筋肉をつける。そのためには、まずジムに行け!(笑)。もちろん効率よくバットを出せるほうがいいのだけど、今までのフォームを一度に変えるのは難しい。大事なのはいつでも強く振ること。
バットの芯でボールをとらえる練習をするときに、多くの選手は7割くらいのスピードで振ってしまうが、それはゲームではやらないスイングだ。違う技術を習得することになる。コンタクトの練習をするときでもちゃんと100%振りきること、ハイテンションでバットを振ることが大事だ。
スイングディシジョン(打つか打たないかの判断)は練習で習得できる。コーチにいろんなボールを投げてもらって、判断する。一番大切なのはどのボールを打つか、何のボールを打つかプランを持って打席に行くことだ。2ストライクまではプランをちゃんと持って、どう攻めていくかを考えることだ。そしてもっと大事なのは、常に『相手にダメージを与える』ことを考えて、強気に向かっていくことだ」
バットスピードが落ちたら…家に帰る時間です
スランプになったとき、何をしていいかわからなくなったときはどうするのか? それについてもダニエルはアドバイスを続ける。