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プロ野球亭日乗BACK NUMBER
「僕もまだ30ちょっとの若僧ですけど」筒香嘉智32歳が苦悩のメジャー挑戦4年間を告白「毎日が楽しいかって聞かれたら…楽しくないよって」
text by
鷲田康Yasushi Washida
photograph byGetty Images
posted2024/02/20 17:01
サンフランシスコ・ジャイアンツのマイナー契約を結びスプリングトレーニングに参加する筒香嘉智(32歳)。米挑戦4年間の苦悩を明かした
筒香 意地とかとは、また違うと思います。やっぱり小さい頃から、本当にメジャーで活躍したいという思いがあったので。自分の思いって言ったら思いだけってなっちゃうんですけど、何か本当にもうそれだけですかね。
――みんなそんな思いを抱いてメジャーに来て、成功する選手もいれば、結果を残せない選手もいる。でも、うまくいかなかった選手はだいたい2年くらいでみんな諦める。筒香選手を見ていると、その諦めない力がすごいな、と。子供たちに対する色々な発言や行動を見ていても決して諦めない。
筒香 僕もまあまだ30ちょっとの若僧ですけど、プロ野球という特殊な世界に入って、色んな人に出会わせていただきました。中には何かエネルギーを他の人の方にすごい向けているなって人とも出会いましたし、妬みや僻みとか、ありもしないような話を平気で作って、僕の耳に入れてくる人もいます。でも、そういうエネルギーは自分にはあまりないかな、と。あとはまあこの人生をやっぱりトータルで見たときに、年齢を重ねることで出てくる、分かってくることもたくさんあると思います。そういった意味でも人生トータルで考えたら、いまこの環境と頑張って向き合うことが、のちのち必ず自分の人生を豊かにしてくれるなと思っています。
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――それはアカデミーで子供たちに伝えていることとも一緒ですね。筒香選手自身もプロの世界に入ってから、こうしてアメリカでプレーするようになるまで、紆余曲折があって今があると思います。その中で人生観が変わってきていますか?
筒香 人生観はかなり変わっているんじゃないですかね。あまり周りを気にしなくなったなあというのはありますね。ベイスターズでキャプテンやらせていただいたときに、世の中の人がみんな仲良く、同じ方向を見るのが理想だと思っていた。それで僕はなぜか分からないですけど、勝手にできるとも思っていて、そこにすごいエネルギーを注いでいた。でも、なかなかそういうのって、それぞれ人の感覚があるんで難しいなーとも思いました。そんなこともあってちょっとずつ、ちょっとずつ、まずは僕の周りにいてくださる人を本当に大切にしようって思うようになった。それ以外って言ったらちょっと語弊があるかもしれないですけど、そういう人たちの言葉はあまり気にならなくなりましたね。
アカデミーでやっていること
――自分で自分の道をしっかり歩めば、自ずと人生も広がっていくし、将来に繋がっていく道も見えてくる。そういう意味では、例えばアカデミーが出来上がって、そこで子供たちがプレーしていると言う現在がある。そこには達成感がありますよね。