「その人の運動能力を問わず、誰にでもできる。世界レベルの競技としてみれば勝っていくのは大変なスポーツなんだけれども、エンジョイすることは誰にでもできる」

中井祐樹／1970年8月18日、北海道生まれ。総合格闘家としてプロ修斗第2代ウェルター級王者になるが、右眼を失明。その後ブラジリアン柔術家に転身し、現在はJBJJF会長を務めている　©Takashi Iga

　柔道、レスリング、空手――。試合で勝つことを目的とする競技とは一線を画するのがブラジリアン柔術だ。

「技の技術的なことを理解したり試したり、その程度からでも楽しめるんです。ぶっちゃけ戦いに行かない人がいても全く問題ない。肉体の勝負じゃないところに理想を求めているんです。小さくても大きい人を仕留めたりとか、女性でも男性の圧からうまく逃げられるとか。そういうところにフォーカスされているから取り組み易さがある」

　ブラジリアン柔術の歴史は大正時代まで遡る。日本人の柔道家、前田光世がブラジルに伝えた柔道が、比較的体が小さかったとされるグレイシー一族を中心に独自に発展していった。

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