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オリンピックPRESSBACK NUMBER
夫婦円満を保つ遠距離生活!?「パリ五輪が終わったら仲悪くなるかも(笑)」妻は日本代表、夫は台湾代表コーチ…柔道家夫婦の“意外な関係”
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byMiku Takaichi
posted2024/02/14 11:04
昨年10月、夫・賢悟さん(左)がいる台湾を訪れた高市未来。パリ五輪では”夫婦対決”が実現するかも?
夫婦のささやかな願いは、五輪の緊張から解き放たれ、ゆっくりとした時間を2人きりで過ごすことだ。
「昨年のアジア競技大会の後や年末に台湾に遊びに来てくれたんですが、2人で旅行したいですね」(賢悟さん)
「試合のことを考えず、コーヒーでも飲みながらおしゃべりできたら」(高市)
ただ、スイッチが入ると、高市は一気に競技モードに突入し、いい意味で周りのことが気にならなくなり、勝負師の顔となる。
「(賢悟さんに)言われたんですよ。東京オリンピックの直後は優しかったって(笑)。『(スイッチが入ると)違う人になる』って言われました(笑)」
背中を押したレジェンドの激励
リオ、東京と夢の舞台で高市は2度挫折を味わった。
直後の失意や再び茨の道を進む覚悟、葛藤は想像を絶するものだった。
「私は精神力があるわけでもないし、メンタルが強いわけでもない」という彼女が、困難を乗り越えて3度目の舞台にたどり着いた。
東京五輪2回戦で敗退した後、夫が練習パートナーを務めていた男子73kg級の大野将平から「絶対にやめるなよ」と、昨年5月の世界選手権では3回戦敗戦後、「諦めたらダメだぞ」と、節目で常に発破をかけられた。そんな五輪連覇のレジェンドも「3度目の出場はすごい』と褒めてくれた。
夢舞台にたどり着けたのは、本人の覚悟はもちろん、賢悟さんを始めとする家族、周囲の支えがあったからこそ。
「やっぱり(五輪で)負けているから……でしょうね、ここまで来られたのは。まだ一度も勝ててないので。一度も力を出し切れていない、そういう心残りがあるんです。だからこそ“まだできるんじゃないか”と積み重ねてこられた。ただ、そう思いながらも“やっぱりダメかもしれない”と思うこともあって。リオからの8年間はその繰り返し。元気な自分と弱い自分が常に戦っていました」