- #1
- #2
オリンピックPRESSBACK NUMBER
あの野獣がキューピッド?「松本薫さんが唐突に…」柔道・高市未来29歳が失意の東京&大ケガから復活「心の支えは“絶対に否定しない夫”」
posted2024/02/14 11:03
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph by
Miki Fukano
柔道女子63kg級でパリ五輪代表に内定した高市未来(29歳)。東京五輪では女子で唯一メダルを逃し、2022年には選手生命を脅かす大ケガを負うなど、“3度目のオリンピック”までの道のりは壮絶な時間だった。一時は“引退”も考えたという高市を、もう一度奮い立たせたのは夫・賢悟さんの存在だった〈NumberWeb全2回インタビューの前編/後編に続く〉。
2023年12月、東京体育館、柔道グランドスラム東京大会。
パリ五輪の日本代表選考会を兼ねたこの大会で、女子63kg級の高市未来は準々決勝で2022年世界女王で五輪代表の座を争うライバル堀川恵に勝利。5試合を勝ち抜いて頂点に立ち、3大会連続の五輪切符を掴んだ。
「またオリンピックに行けるんだ……」
表彰台で彼女は大粒の涙を流した。
2回戦敗退に沈んだ失意の東京五輪から2年あまり。一時は引退も視野に入れたが、悩んだ末に現役続行を決断。しかし、復帰に向けた矢先の2022年2月には左膝の前十字靭帯断裂と長期離脱を余儀なくされ、選手生命の危機にも直面した。2016年のリオ大会も5位と不完全燃焼で五輪を終えている。
五輪の度に挫折を経験し、それを乗り越えながら強くなってきた。
葛藤も進化の糧にしてきた。
そんな彼女を一番近くで支えてきたのが夫の賢悟さんだ。
2022年に現役を引退した夫・賢悟さん
男子66kg級で五輪出場を目指した彼も2014年世界選手権に出場した日本の元トップ選手。怪我の影響などで思うような結果が残せず、五輪出場はかなわないまま2022年5月に現役引退している。
高市はそんな夫の姿を見てきたからこそ、大好きな柔道を続けられる環境にいることは当たり前じゃないんだと悟ったという。夫は決して言葉数が多い方ではないが、悩んだときその姿に何度も背中を押され、励まされてきた。