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「史上最強」は幻想だったのか? 韓国記者が言及する日韓両国がやらかした「まさか」の真相《日本は束手無策(=お手上げ)だった》
text by
姜亨起Kang Hyeong Gi
photograph byGettyImages
posted2024/02/10 17:00
敗軍の将となった森保、クリンスマン両監督は2年後のW杯へ向け、チームをどう立て直すのか
この言葉に続いたのが、大手スポーツ紙『スポーツ朝鮮』のイ・ゴン記者だ。普段は英ロンドンに駐在し、ソン・フンミンの密着取材記を出版した実績も持つ同記者は、「ハングリーさが足りなかったのではないか」としつつ、次のような見解を伝えた。
「今大会の日本はメンタル的な部分……特に“ワンチーム”になるという点で足りなかったように感じました。たとえば、優勝した2011年大会の日本は一つのチームとして戦っている印象を受けましたが、今回は正直なところ、チームの中心となるような選手が見受けられませんでした」
イ・ゴン記者が続ける。
「今の日本は確かに歴代最強で、選手の能力も良い。ただ、チームを牽引するリーダー、歴代で言えば中田英寿や長谷部誠、本田圭佑、吉田麻也のような絶対的な存在がいないように思います。現キャプテンの遠藤航は、チームを掌握するカリスマ性という部分でまだ物足りなさがあります。たとえ圧倒的な技量はなくても絶対的なリーダーシップを発揮できるような、精神的支柱の不在が惜しいと感じました」
幻の日韓戦
振り返ると、グループステージ最終節の前は「結果次第ではベスト16で日韓戦が実現する」として両国のサッカーファンが大きく盛り上がった。しかし結局、ベスト16での直接対決は叶わず、可能性があった日韓戦決勝も幻に。宿命のライバル対決の“不発”を、「最大の“見どころ”となったチャンスを逃してしまったことがあまりに残念」とリュ・チョン記者は嘆いていた。
「“韓日戦”が実現せず、少し気が抜けたというか……アジアで最も大きな大会で、アジア最大のライバル対決を見てみたかったというのが素直な感想です。ただ、日韓ともに期待に及ばない結果でしたし、何より今回は他のアジア勢が恐ろしい勢いで成長している姿を目の当たりにしました。現状のままでは、次の大会でも決勝のような大舞台での対戦を期待することは難しいでしょう」
今大会の主役は、日本でも韓国でもなく中東勢。それを実感させられるアジアカップだった。