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「史上最強」は幻想だったのか? 韓国記者が言及する日韓両国がやらかした「まさか」の真相《日本は束手無策(=お手上げ)だった》
text by
姜亨起Kang Hyeong Gi
photograph byGettyImages
posted2024/02/10 17:00
敗軍の将となった森保、クリンスマン両監督は2年後のW杯へ向け、チームをどう立て直すのか
日韓は今大会、ともに“史上最強”のメンバーを揃えたはずだった。日本は久保建英や冨安健洋など欧州組を20人も擁し、韓国もソン・フンミン、イ・ガンイン、キム・ミンジェの“欧州組ビッグ3”を筆頭に「黄金世代が総出動」と伝えられるなど、国民の期待を一身に背負っていた。
しかし、どちらもファイナルの舞台にすら辿り着けず、日本は13年ぶり5度目、韓国は64年ぶり3度目の優勝を逃した。リュ・チョン記者は「個々の選手の能力は日本も韓国もアジア最上級」としながらも、「“チーム”として良い点数は与えられない」と評価を下す。
「正直言って、両国ともに残念でした。日本も韓国も、大会出場国内で優れたチームではなく、戦術的な物足りなさも感じました。韓国は先ほど言った通り、個人は良くてもチームとして足りない点が非常に多かったですし、監督の力量も不足していた。日本は冨安健洋選手のコメントにもありましたが、“一番良くない時の日本”というのが何度か出てしまった。相手がフィジカルを活かすサッカーをした時点で『束手無策(ソクスムチェク/“お手上げ”を意味する韓国の四字熟語)』でした」
日韓両国のアジアカップの位置づけとは
特に、森保一監督に対しては「そもそも、2年後の北中米ワールドカップを見据えて今回のアジアカップを準備していたのではないか」と疑問を提起。「勝つサッカーというより、自分たちの理想のサッカー、良いサッカーをしようとしていた印象があります。敗れたイラン戦も、南野拓実ではなく久保建英を先発起用した意図が私には理解し辛かったです」とし、選手個人への評価を続ける。
「パフォーマンスが惜しいと感じたのは、久保と鈴木彩艶の2人です。どちらも優れたポテンシャルを持ち合わせてはいますが、今大会で才能をすべて見せることはできませんでした」
「久保はチームプレーに溶け込めていないような姿を何度か見せました。いくらテクニックに優れた選手でも、相手が構えた状況では自分の望み通りのプレーをすることは難しい。もっとスピーディーにボールを散らすという選択もあっても良かったと思います。鈴木は、大きな大会の経験がなかったこともあってミスが多すぎた。ただ、その心理的な負担感をチームとしても減らすことができなかったようにも見えました」
そんな日本と韓国の“違い”としてリュ・チョン記者が挙げた要素が、“選手のモチベーション”だった。
「韓国からは今大会、“絶対に負けられない”という気概が感じられました。ただ、個人的な印象ですが、日本からそのような闘魂は見られませんでした」