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サッカー日本代表PRESSBACK NUMBER
「日本に帰ってから償いますから」“怒る監督”に堂安律が一言…「本田圭佑と似通ったところが」敏腕スカウトが“中学生のリツ”にホレた日
text by
二宮博Hiroshi Ninomiya
photograph byJFA/AFLO
posted2024/02/07 17:00
アジアカップ準々決勝でイランに敗れ、悔しさを滲ませる堂安律。前半から積極的にプレスに参加するなど、勝利への意欲を感じさせた
リツは当時から親分肌の一面をもっていました。悪い意味ではありません。監督と選手のパイプ役を担っていたのです。
遠征中、FCバルセロナとの大事な練習試合を翌日に控えたタイミングで、練習前にボールに空気を入れ忘れたことがあり、鴨川幸司監督(現・ティアモ枚方アカデミーダイレクター)が全員に走る練習を命じました。ですが、リツは、
「明日は大事なFCバルセロナとの試合があります。日本に帰ってからちゃんと償いますから、今日の走る練習はやめていただけませんか」
そう鴨川監督に掛け合い、チームメートの思いを代弁したのです。目標を達成するために、はっきりと自分の意見を主張する。ある意味、ケイスケ(本田圭佑)と似通ったところがあると思います。
ケイスケと一緒で「ビッグマウス」と評されることもあるリツですが、「有言実行」を貫いているのです。言ったからには、やらなければならない。リツもケイスケも、そういう思いで、意図的に発言しているのではないでしょうか。ある意味、やらなければならない状況に自分を追い込んでいるのです。
海外はまだ早い…反対意見を翻した堂安
飛び級でトップチームに加わったリツは、19歳でFCフローニンゲン(オランダ)に移籍。当時のガンバ大阪の社長、山内隆司さんは当初、10代での渡欧を不安視していました。しかし、リツと1対1で面談し、こう考えを改め直したといいます。
「彼の強い覚悟にびっくりした。彼のヨーロッパで活躍したいという熱意をひしひしと感じ、応援したいと思うようになった」
リツは覚悟のある選手です。こうと決めたら、まず行動に移してみる。彼の目標設 定力=自己啓発力は「行動」と直結しています。動かなければ何も始まりません。行動を起こすことで現状に変化が生まれ、何かが得られるのです。