Jをめぐる冒険BACK NUMBER
16年ぶりJ1で東京ヴェルディはどう戦うか「外国人も獲れたけど…」「平均24.1歳のメリットを活かすなら…」城福監督と江尻強化部長が明かす戦略
text by
飯尾篤史Atsushi Iio
photograph byTatsu Ikeda
posted2024/02/08 17:02
ヴェルディのエースとして期待される染野唯月。16年ぶりのJ1で緑の旋風を巻き起こすか
アカデミーの強化はもちろんのこと、大卒選手や他クラブで出番に恵まれていない若手を獲得して鍛え上げていく。
こうしたアプローチが成功し、16年ぶりのJ1昇格を果たしたわけだが、その色をさらに濃くしてJ1残留、J1定着、上位進出を狙っていこうとしている。
15人の新加入、大半が10代~20代前半
今オフ、ヴェルディはレンタルバックを含めて15人の新加入選手を発表したが、最年長は28歳の翁長で、大半の選手が10代から20代前半。実績十分なベテラン選手や外国籍選手を迎え入れなかったのも、育成型クラブとしてのフィロソフィに則ったものだ。江尻強化部長が説明する。
「何人かの選手の獲得をやめれば外国籍選手も獲れたんです。でも、能力が飛び抜けていて、この選手に(レギュラーポジションの)1枠があるという競争原理を度外視した補強ではなく、競争を勝ち抜いた選手がピッチに出ていく状態を作りたかった。城福監督も同じ意見で、『インテンシティと質の高い、選手の目の色が変わるようなトレーニングをやりたい』と」
持たざるチームだからこそ、知恵と工夫と覚悟をもってヴェルディは勝負する。プレシーズン中もスカウトを鹿児島や宮崎のキャンプ地へと送り込み、埋もれた才能の発掘に余念がない。「まさに昨日、リストがダーッと届いたところなんです」と強化部長は目尻を下げた。
今季のスカッドの平均年齢は24.1歳――。
「J1ではおそらくダントツで若いと思うんですよ」と城福監督は言う。
若さのメリットを活かした躍動感を
そのデメリットを覆い隠すような躍動感あふれるスタイルをJ1で披露しようと目論んでいる。
「メリットを活かすなら、アタッキングサードではどんどん追い越していくのを当たり前にしたい。若さや躍動感を活かしてアグレッシブにやって、自陣では戻りながら守備もする。それが我々にとってのリスクを負うということ。それで失点することもシーズン中にはあると思いますけど、それを恐れて引いて守って、目の前でやりたい放題やられるのは嫌なので。そこは覚悟をもってやる。攻撃において相手陣内でボールを回す時間がないと、守備だけで90分インテンシティ高くやるのは無理なので、両方追い求めていきたい」
昨季は4-3-3と4-4-2を併用して戦い抜いた。今季もそのベースに変化はないが、名古屋戦では相手や戦況、自チームの出場選手によって、4-3-3でもあり、4-2-3-1でもあり、4-4-2のようにも見える柔軟なサッカーを繰り広げていた。