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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「大学時代の田澤廉は、目一杯の練習をしていなかった」駒澤大総監督・大八木弘明が語る“4人の愛弟子”の現在地「まずは世界で入賞争いを」
text by
加藤康博Yasuhiro Kato
photograph byNanae Suzuki
posted2024/02/04 11:01
2023年、監督として挑んだ最後の箱根駅伝で総合優勝を飾った際の大八木弘明
「もちろん以前から分かっていましたが、改めて肌身で感じました。レースはもちろんですが、海外の選手がハイレベルなスピードトレーニングを行っていることを目の当たりにしたためです。その点で田澤は大学時代、目一杯の練習をしてこなかったですし、今年もレースが続いたので、本格的な強化はこれからになります。海外のトップランナーは標高1700mでも平地と変わらないペースで練習していて、田澤や(佐藤)圭汰は実際にそうした選手の姿を見てきました。私だけでなく彼らの意識や目線もこれまで以上に上がっています」
大八木が見た「田澤廉の実業団1年目」評価は?
実業団1年目の田澤は12月の日本選手権10000mは2年ぶりの自己ベストとなる27分22秒31で走るも4位。田澤自身も大八木の言葉にあった通り、「今季は試合続きでまとまった強化期間が取れなかった」と悔しさの声を上げていた。それは8月のブダペスト世界陸上にワールドランキングによる出場を目指したためにポイントを重ねる必要があり、シーズン前半から夏にかけ、連戦となったことを指す。だが連戦を経たからこそ、レース感覚を高められたことも確かで、世界陸上では15位と2022年オレゴン大会より順位を上げている。
「まだまだですが、試合に合わせる能力がつきましたし、世界大会でアフリカ勢の作るレースの流れの中で以前より力を発揮できるようになったと思います」と大八木は田澤の1年の成長に一定の評価を与えた。
また今季、大八木は田澤のトヨタ自動車のチームメイトである太田智樹を海外合宿で預かり、指導してきた。他大学出身の選手を長期で預かるケースもこれまでなかったこと。その太田が日本選手権で田澤を上回る2位に入ったことも田澤への大きな刺激となっている。
「レベルアップしたいという選手がいるのであれば、所属に関係なく今後も受け入れて一緒にやっていくつもりです。そして私たちも海外でのクラブチームとの合同トレーニングを増やしていきたい。実際、昨年もそうした機会があり、10000mで26分台、5000mで12分台を出すためにどんなトレーニングが必要かを私自身が学びました。それを田澤たちに落とし込んでいくためにはレベルの高い練習環境を作っていくことが何より重要であり、それが世界と戦うことにつながると考えています」