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6球団競合のFA移籍→戦力外通告「野球人生を懸けてロッテに移籍した」福田秀平が“負けた”と語った苦悩の4年間、歯車が狂ったあの骨折
text by
田中大貴Daiki Tanaka
photograph byIchisei Hiramatsu
posted2024/01/29 11:02
FA移籍からの4年間を振り返った福田秀平(34歳)。ロッテでは思うような結果を残せなかった
――「引退」も頭をよぎったと聞きました。それでも現役続行にこだわった理由は?
福田 最後のほう(昨シーズン)になって、右肩が少しずつ良くなっていたんです。それは多くのドクターやトレーナーのおかげで、何より誰も「もう辞めたほうがいい」と言わなかった。ドクターは今でも野球ができるようになったことを驚いていますし、トレーナーからも「奇跡です」「普通じゃ考えられない」と言われます。それだけ懸命に支えてくれた人たちがいました。ロッテファンからすれば「ふざけんなよ」と思う方もいるかもしれないんですが、周囲のサポートに報いるためにも、また個人としても、もう少し野球をやりたいという気持ちが強かったので新天地を模索しました。
――右肩の具合はそこまで悪かったんですね。
福田「治らない」というよりは「投げられない」「打てない」という感じです。拘縮肩と呼ばれる症状で、痛みが出る中で無理やりプレーしたことで、関節包が組織を守ろうと硬くなり、肩が変形してしまった。野球選手の症例は珍しく、ドクターには「交通事故に遭ったようなもんだよ」と言われていました。ケガから2年経った2022年に手術しました。
――カムバックを果たせたのは「野球を続けなさい」という神様のメッセージだったのでしょうか。
福田 でも、劇的に、というよりは少しずつ安定してきた感じです。今も一定の可動域を超えると痛みが出るので、制限はあります。投げ方も違いますよ。外野でもカットまでは投げられるようになりましたが、センターからバーンと投げろと言われたら無理です。でも、レフトなら対応できますし、内野のスローイングなら問題ない。まさに今、自分の脳にプレーできる範囲を覚えさせている最中です。
(後編に続く)