濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
激しいエルボー、気の強さも魅力…“実力派アイドルレスラー”梅咲遥22歳の覚悟「いつも“どれだけ頑張ったか”を見られてる」《特別グラビア》
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byTakuya Sugiyama
posted2024/01/27 17:01
ディアナのシングル王者・梅咲遥(22歳)。1月28日にタイトルマッチでウナギ・サヤカと対戦する
実力の世界であり、しかしその“実力”の意味するところが多層的なのがプロレス。梅咲も強さを志向しながら、強さだけではない部分にも敏感だ。業界最大手であるスターダムへの参戦は大きな刺激になった。
「スターダムの選手は入場からキラキラしてますよね。メジャーアイドルに近いものを感じました。隙のないオーラというか。地下アイドルには親近感という魅力があるけど、それとはやっぱり違う。いい意味で近寄りがたいんです。これは私も学んで持ち帰りたいなと思いました」
2021年から新たなアイドルグループ「シロツメクサ」にも参加。リングではアイドルであることをまったく意識しないが、同時に「見せ方」にはこだわるという。
「ウナギさんを否定しても、勢いは止まらない」
1月28日のビッグマッチ、カルッツかわさき大会では、保持するW.W.W.D認定シングル王座をかけてウナギ・サヤカと対戦する。女子団体だけでなく男子団体のリーグ戦にも出場するなど、昨年最も話題を集めた女子レスラーと言っていい。1月7日には自主興行を開催し、後楽園ホールを満員にした。
「ウナギさんとは以前、タッグ王座戦がドローになっているのもあって気になる存在でした。でも今回の防衛戦は“決着をつける”というだけではないですね。私も出場したんですけど、自主興行が本当に凄くて。後楽園ホールを満員にするって大変なことですから。あれができるのはウナギさんしかいない」
ウナギに対しては実力を疑問視したり、練習不足だと指摘するレスラーもいる。だが梅咲には、相手を否定することで試合に向けての熱を高めようという気はないようだ。
「disったところで、よくいるアンチみたいになってしまうだけなので(笑)。プロレスラーは見せ方も発信力も集客力も大事で、ウナギさんは全部凄いじゃないですか。今回も“あの黄色い(ウナギの)Tシャツを着た人たちがどれだけ来るんだろう”って。そう思わせるのもレスラーの価値だと思います。それに、ウナギさんを否定してもウナギさんの勢いは止まらないですから」
ウナギ・サヤカという存在を否定するのではなく、ウナギ・サヤカの存在を自分なりの形で上回ることがプロレスラーとしての勝利。そのためにこそ「ディアナで揉まれて頑張ってきた」ことが活きると梅咲は考えている。
「そんな簡単には負けないです。ウナギさんの勢いは認めますけど、認めたからといって私の中で揺らぐものは何もないので」
3冠王になる可能性も
昨年4月にシングル王者となったが、まだ防衛戦は一度だけ。しかし今年は1.28かわさき大会に続いて2月11日の新木場大会でのタイトルマッチ開催も決まっている。ウナギに勝って防衛を重ねていきたいし、2月4日には後楽園WAVEのシングル王座に挑戦する。ウナギが持つアイアンマンヘビーメタル級王座は、いつでもどこでも誰でも、レフェリーが3カウントを数えればベルト移動となる特殊なタイトル。つまり梅咲が3冠王になる可能性もある。
タイトル獲得時に名前を出したスターライト・キッドをはじめ、スターダムの選手との対戦も実現させたい。2月7日生まれだからもうすぐ23歳。その若さでチャンピオンとして団体を引っ張るだけの力があると確信させてくれる梅咲は、やはり実力派なのだ。