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「記事にしにくいことを言っちゃいました…」白川未奈が明かす“屈辱タッグ” ロッシー小川の“ホメ言葉”に「このままじゃダメ」と奮起した理由
posted2024/01/26 11:03
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph by
Essei Hara
2024年最初の試合を終えた女子プロレスラー・白川未奈の第一声は「屈辱」だった。
1月3日、スターダムの横浜武道館大会でのことだ。白川は8人タッグマッチに出場。舞華、安納サオリ、水森由菜とチームを結成した。舞華は“赤いベルト”ワールド・オブ・スターダム、安納は“白いベルト”ワンダー・オブ・スターダムのチャンピオンになったばかり。シングル王者の2トップに挟まれる形での試合だった。
「私にとっては“屈辱タッグ”ですよ。右に赤、左に白のチャンピオン。私は丸腰」
チームを組んでいる場合ではなかった。舞華も安納もベルトを狙う対象、闘うべき相手なのだ。その数日前、2023年の最終戦である両国国技館大会でも「鬱憤がたまってます」と訴えていた。
栄光を掴んでは泥にまみれ、出直す
両国大会では朱里、星来芽依と組んだ。こちらもユニット越境のチーム編成。白川はベテランの高橋奈七永に3カウントを奪われ「来年もまた這い上がるところからのスタート」だと語っている。
「両国での負けは“恥”でしたね。朱里も私もユニットのリーダー。なのに私は負けてしまった。高橋奈七永とはシングルまで持ち込まなきゃいけないですね」
両国大会も横浜大会も、カード自体が悔しかった。どちらもユニットの枠を超えたスペシャルマッチだったが「見方によってはテーマのない試合になってしまうカードじゃないですか」。
栄光を掴んでは泥にまみれ、出直しを繰り返すのが彼女のキャリアだった。新ユニット「クラブ・ヴィーナス」を結成し、昨年4月には横浜アリーナで白いベルトを奪取。しかし5月には2度目の防衛戦=赤白ダブルタイトルマッチで中野たむに敗れてしまう。6月にはマライア・メイとタッグ王者になったが、これも2度目の防衛に失敗した。
そして下半期は、目立った活躍をすることなく過ごすことに。朱里とのUWFルール、すなわち格闘スタイルでの対戦という新たなチャレンジがあったものの、個人としてもユニットとしても大きな結果が出なかった。白川曰く「上半期と下半期の落差が激しくて。ジェットコースターですよ」。
「同情されたくなくて本音を隠してたんです」
グラビアタレント出身、かつ他団体でデビューして、参戦したての頃には「レベルの高いスターダムでやっていけるわけがない」というムードもあった。中野たむと組み始めると「お荷物」と言われたりもした。そういうところから地力をつけ、いくつもベルトを巻き、自身のユニットを作った。白いベルトも手にした。