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藤井聡太21歳が“八冠保持”より「第一に考えている」ことは…「振り飛車のスペシャリスト」菅井竜也31歳との王将戦で見せた正確無比さ
text by
田丸昇Noboru Tamaru
photograph byJIJI PRESS
posted2024/01/10 17:00
第73期王将戦7番勝負の第1局に臨む藤井聡太八冠(手前右)と挑戦者の菅井竜也八段(代表撮影)
菅井は、藤井が8筋にと金を作る手段を軽視したようだ。仕方なく飛車で7筋から攻め込み、さらに飛車を捨てて角で守り駒の金を取った。藤井の穴熊に厳しく迫っていったが、攻めさせられているというのが現実だった。
藤井は終盤の局面で残り時間が5分と迫ったが、直線的な寄せ合いとなれば指し手に迷いはなくなり、正確無比な読みの精度が発揮される。そして、攻防に打った△6四角が決め手となった。
終局時刻は18時30分。藤井王将が120手で先勝し、王将防衛に向けて好発進した。
昨年の「藤井-羽生」のような熱戦を期待したい
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菅井八段は藤井の玉にかなり肉薄したが、内容的にはやや不本意だったと思う。中終盤の押し合いへし合いで剛腕を発揮できるような戦いにしたかった。
羽生九段が藤井王将に挑戦した昨年の王将戦でも藤井が先勝したが、羽生が第2局に勝ってシリーズは大いに盛り上がった。今年も菅井の踏ん張りに期待したい。
その王将戦第2局は、1月20日、21日に佐賀県上峰町「大幸園」で行われる。
王将戦では「勝利者コスプレ」が恒例となっている。翌朝のスポーツニッポンには、今年の干支の辰年にちなんで、藤井が緑色の竜のぬいぐるみを抱えた写真が掲載された。