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藤井聡太21歳が“八冠保持”より「第一に考えている」ことは…「振り飛車のスペシャリスト」菅井竜也31歳との王将戦で見せた正確無比さ

posted2024/01/10 17:00

 
藤井聡太21歳が“八冠保持”より「第一に考えている」ことは…「振り飛車のスペシャリスト」菅井竜也31歳との王将戦で見せた正確無比さ<Number Web> photograph by JIJI PRESS

第73期王将戦7番勝負の第1局に臨む藤井聡太八冠(手前右)と挑戦者の菅井竜也八段(代表撮影)

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田丸昇

田丸昇Noboru Tamaru

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 2024年の将棋界の動向を占う大きな対決は、1月上旬から始まった第73期ALSOK杯王将戦七番勝負だ。若き王者の藤井聡太王将(21=竜王・名人・王位・王座・棋王・叡王・棋聖を合わせて八冠)に対して、勝負強い菅井竜也八段(31)が挑戦して棋界内外から注目を浴びている。

 その王将戦第1局は1月7日、8日に栃木県大田原市「ホテル花月」で行われた。昨年の暮れから王将戦の開幕までの経過、王将戦に懸ける両者の決意、菅井が武器にしている振り飛車、藤井の振り飛車対策、藤井が先勝した第1局の戦いなどについて、田丸昇九段が解説する。

筋骨隆々の丸山が銀河戦で藤井に勝利、つづくは菅井

 昨年の11月22日に行われた王将戦リーグ最終日で、菅井八段が5勝1敗で1位となり、藤井王将への挑戦者に決まった。菅井はその後、12月8日の竜王戦1組ランキング戦、12月15日のA級順位戦で、斎藤慎太郎八段にいずれも勝った。終盤のぎりぎりの攻防での独特の間合いが絶妙だった。

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 一方の藤井は11月10日、11日の第36期竜王戦七番勝負第4局で挑戦者の伊藤匠七段に勝って4連勝し、竜王戦で3連覇を果たした。11月19日には第44回将棋日本シリーズJTプロ公式戦の決勝で、糸谷哲郎八段に勝って昨年に続いて優勝した。ただ第31期銀河戦の決勝では、藤井八冠は丸山忠久九段に敗れ、昨年から続く優勝を逃した(※対局は11月1日、配信は12月23日)。

 銀河戦決勝後、藤井は「戦いが始まって数手で方針を間違え、難しい展開にしてしまった」と反省の弁を、丸山は「短い持ち時間(各25分)の勝負なので、自分にもチャンスがあると思っていた」と、初優勝の喜びをそれぞれ語っている。

 丸山は羽生善治九段と同じ53歳。体調維持のために毎日2時間もジムに通っていて、ベンチプレスは90キロを挙げるという。銀河戦の対局写真では、半袖の下からムキムキの腕が見えた。

 筋骨隆々と言えば――菅井もウェートトレーニングやランニングで体を鍛えている。胸囲は100センチあるという。最強棋士の藤井に対して、鋼鉄のような肉体と意志で対抗するつもりだ。ちなみに、藤井はラジオ体操で体調を調整している。早朝の6時半からではなく、昼間にユーチューブを見て行っているという。

藤井と永瀬の“公開練習将棋”に応募が殺到

 藤井は12月に公式戦の対局がなく(未放映の対局を除く)、実戦不足が心配されていた。しかし、永瀬拓矢九段との練習将棋は再開したようだ。

【次ページ】 菅井が語った「今は評価が低い振り飛車を信じて」

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