濃度・オブ・ザ・リングBACK NUMBER
「他では見られない安納サオリだった」人気女子レスラー“3試合出ずっぱり”の凱旋興行に密着「体重が4kg減って…そりゃそうですよね」
text by
橋本宗洋Norihiro Hashimoto
photograph byNorihiro Hashimoto
posted2023/12/29 11:07
昨年に続く滋賀凱旋興行で1日4試合をこなした安納サオリ
出場した選手たちも気心が知れている。ほとんどが、安納と同じアクトレスガールズ出身。タッグを組んだSAKIとはアクトレスガールズの初代王座決定戦で対戦した。乱丸にも若手時代からさんざん“揉まれて”きた。笑いの絶えないプロレスで新たな一面を引き出されてきたのだ。
今は主戦場にしている団体が違うからレアな組み合わせ。同窓会的でもある。そんな面々との試合は、どこかリラックスしていて親密感があった。場外乱闘では、会場に飾られていた滋賀名物・飛び出し坊やの安納バージョンの横に連れてこられ「同じポーズやって」と本間から無茶振り。SAKIも助けに入らず笑って見ている。
もちろんリングに戻れば激しい攻防。とりわけ、同期の本間とは意地の張り合いになった。3カウントを奪ったのは、去年の凱旋興行で敗れた本間。1年ぶりで借りを返した形だ。
「体重が4kg減ってました」
この日、安納が行なった試合のタイムを合計すると39分49秒。前日のMIRAI戦を合わせると2日で1時間を超える。
「凱旋興行が終わったら体重が4kg減ってました。そりゃそうですよね。あれだけ試合して、しかも時間がなくてバナナしか食べてなかったので」
1日3試合することで、自分の限界を見せたいという気持ちもあったそうだ。
「でもMIRAI戦、滋賀大会とやってみて、自分に限界はないんだって分かりました。メインで負けたのも体力の限界じゃない。だから悔しいんですよ。元気だから悔しい。だって試合後も売店でたくさんサインさせてもらったし、なんなら撤収(作業)もやりましたからね。で、実家に帰って姪っ子と遊んで」
今年、安納はスターダム参戦によって知名度を高め、飛躍を果たしたと言っていい。これからもどんどん存在が大きくなっていくはずで、だからこそ凱旋興行は本人にとってもファンにとっても貴重度が増す。ただ、今のところ次回の開催は未定。今年もそうだったが、2024年の安納サオリがどうなっているかは誰にも分からない。
安納サオリはどこまで大きくなっていくのか
去年の年末はアイスリボンのシングル王者で、大晦日に防衛戦を行なっていた。今年はスターダムのチャンピオンとして年を越すかもしれない。MIRAIとのリマッチの翌日、12月30日にはOZのシングル王座挑戦者決定戦も待っている。
「白いベルトを巻いたら、またそこから新しい目標ができると思うんです。1年後の自分は今とだいぶ違ってるはず。というより、違わないといけない。今が最高だとは思ってないので」
次の地元凱旋興行がいつできるかは分からない。けれど地元のもっと大きな会場で凱旋興行がしたいという目標もある。帰れる場所があるから頑張れるということもあるだろう。次に凱旋興行を開催する時、安納サオリはどこまで大きくなっているのか。それを楽しみにしておきたい。